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【信濃毎日新聞】 改正公選法 新方式先送りの無責任

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 何のために有識者による調査会をつくり、議論を委ねたのか―。そんな疑問が湧く法改正となった。
 改正公選法が参院本会議で可決、成立した。衆院の「1票の格差」に対処するための改正である。定数を小選挙区で「0増6減」、比例代表で「0増4減」する。格差は2倍未満に収まる見通しだ。
 県関係では、小選挙区定数は5で変わらない。比例の北陸信越ブロックが1議席削減される。
 有権者への周知期間などを経て、新制度による選挙ができるようになるのは来年以降になる。
 一見、格差の問題に適切に対処したかに見えて実態は逆だ。抜本改革を先送りした党利党略の見直しになった。
 2009年、12年、14年の衆院選の格差について、最高裁の判断はいずれも「違憲状態」だった。最大格差はそれぞれ2・30倍、2・43倍、2・13倍だった。
 判決を受け、与野党は見直し論議をスタートさせたものの案をまとめることができなかった。そこで佐々木毅・元東大学長を座長とする調査会を設けた。
 答申は今年1月。(1)人口を議席に反映しやすいアダムズ方式で定数を配分し直す(2)小選挙区で6、比例で4、合わせて10議席削減する―の二つが柱だった。
 以上がこれまでの経過である。
 答申のうち大事なのは、(1)の新方式導入だ。小選挙区定数をあらかじめ都道府県に1ずつ配分する現行の「1人別枠方式」が格差の主な原因、とする最高裁判決を受け、調査会が打ち出した。
 今度の改正では、肝心のアダムズ方式導入を20年の国勢調査の結果がまとまった後に先送りしている。これでは最高裁が出した“宿題”への答えにならない。
 20年の国勢調査で定数を配分し直すと、新方式による選挙ができるようになるのは早くて22年になる。それまでの間は1人別枠方式が温存される。1票の格差訴訟の提起は避けられまい。
 アダムズ方式が先送りされたのは、現職議員の当落への影響を心配する声が自民党内で高まったのが主な理由である。こんなことでは、20年国勢調査を受けての見直しが約束通り実行されるかもあやしくなってくる。
 定数削減については、調査会では慎重論が多かった。有権者の声が届きにくくなるからだ。削減より新方式導入を優先せよ、との趣旨は答申に明記してある。
 今度の法改正にはこの点でも、いい点数は付けられない。 (5月21日)

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