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【福島民報】 【避難指示解除】廃炉リスクの説明を

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 東京電力福島第一原発事故に伴い、避難指示が出されていた市町村の解除が相次いでいる。東日本大震災から5年が経過し、自治体の再生への大きな一歩となろう。その一方で、東電の対応に疑問符が付くことがあった。
 5月26日に開催された主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)での出来事だった。本紙に「サミット期間中
 廃炉作業休止」のベタ記事が載った。サミット開催前日の25日から最終日の27日までの3日間、汚染水処理やパトロールは継続し、原子炉建屋付近での作業や汚染水保管タンクなど大部分の作業は停止した。東電側は「国から電力設備の警備強化の要請があり、自主的な判断で廃炉作業を休止した」と説明する。
 廃炉作業は30、40年もかかる、といわれる。東電の汚染水対策の切り札として導入した「凍土遮水壁」に凍結しない部分が見つかった。第一原発の1~4号機のうち、4号機に残されていた使用済み核燃料の取り出しは完了したが、1~3号機はこれからだ。さらに、最重要課題となる溶融燃料(デブリ)については取り出しに向けた技術さえ確立していない。
 この息の長い廃炉作業の近くで福島県民は普通に暮らしている。各国の要人が集まるからといって本県から遠く離れた会場まで配慮する必要があるのか-と素朴な疑問が湧く。本紙「みんなのひろば」欄にも「これからも住まざるを得ない県民の安全は保障しないという宣言に等しい」という厳しい声があった。原子力資料情報室の松久保肇研究員は「第一原発で何かが起きた時にまず影響を受けるのは周辺住民。はるか遠くのサミットのために休止するようなリスクがあるのであれば、そもそも作業自体を見直すべき」と指摘している。
 葛尾村の帰還困難区域を除く居住制限、避難指示解除準備の両区域に続いて川内村も全面解除された。避難指示の解除は4市町村目で、除染をはじめ、電気、水道の復旧が進み、県民の暮らしが元通りになるのは歓迎する。ただ、住民の帰還は廃炉作業が安全に進められるのが大前提である。東電は福島県民にリスク情報を改めて丁寧に説明してほしい。
 4年後の東京五輪でも廃炉作業を停止するのだろうか。誘致の際に安倍晋三首相は「(汚染水問題の)状況はコントロールされている。今後も東京にダメージを与えることはない」と言い切った。外向けのメッセージより、復興に立ち向かう県民の安全を最優先すべきだ。(佐藤光俊)

One comment

  1. 三浦

    その通り!

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