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【紀伊民報】 本気の議論、進めるとき 広域ごみ焼却施設

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 みなべ町と田辺・西牟婁のごみ焼却施設について、関係市町でつくる田辺周辺広域市町村圏組合の理事会が「2020年度をめどに一本化する」という当面の目標を断念。同時に「将来的な一本化の方針は維持する」と確認した。
 地域社会に不可欠の施設であるごみの焼却施設を広域で建設するのかしないのか。事情を知らない住民には、即座に理解するのが難しい決定である。どうしてこのような事態になったのか。
 理事会は2009年、巨額の建設費や維持費が必要な施設を各自治体が別々に建設するのは不合理などとして、一本化して共同で運営する目標を決めた。
 しかし翌年、大規模施設の新設だけでなく、現有施設の延命化工事にも補助できるように国が制度を変更。それを受けて田辺市は同市元町の施設、白浜町は同町保呂の町清掃センターの延命化を決めた。白浜町は14年度に工事を完了し、田辺市も16年度内に終える。
 延命工事に伴って、ごみの排出量の多い田辺市と白浜町には、急いで次の施設を建設する必要性が薄れた。それが一本化に向けた議論を停滞させ、ひいては目標を断念する結果になった。
 しかし、ごみ処理の実情は自治体ごとに異なる。田辺、白浜は当面、延命工事によって対処できるが、その白浜町清掃センターと上富田町市ノ瀬の上大中クリーンセンターはそれぞれ、地元区との協定で使用期限が決まっている。みなべ町はすでに施設を閉鎖し、すさみ町の施設で焼却している。その契約はしかし、16年度末までの3年間となっている。
 こうした事態に、各市町は個別に対応しなければならない。施設の集約化や民間業者への委託、さらには使用期限の延長なども含めた判断が求められる。ごみの量、人口の減り具合が今後どう推移するかも見極める必要がある。
 ごみ焼却施設の新設には通常、場所の選定から工事、稼働まで10年ほどかかる。巨額の建設費がかかるから、財源も考えないといけない。一方で、小さな施設を各地に建設するより、大規模施設で連続して動かした方が経済的にも環境面でも優れているという。
 こうした事情を考えると、問題をいつまでも先送りすることは、住民の不利益につながる。だが、組合事務局や各市町によれば、次の目標を実現するための具体的な話はまだ出てきていない。
 小規模な自治体が多いこの地域では、自治体間で角を突き合わせている余裕はない。腹を割ってそれぞれの事情を説明し、互いに協力して合意を形成するしかこの問題の解決策はないのである。
 いったんは目標を撤回しても、即座に新たな目標に向けて各自治体が協力し、議論を進めなければならない。それが行政を担う者すべての責務である。
 本気の議論を始めよう。今回の事態を住民や議会へ丁寧に説明し、将来の一本化への道筋を探ろうではないか。人間が生活している限り、ごみは出る。
 (N)

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