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【読売新聞】 香港議会選 習氏の圧力が「反中派」生んだ

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 中国の習近平政権の強権的な姿勢が、香港における「反中」勢力の台頭を招いたのだろう。
 香港の安定と繁栄を維持するには、締め付けの強化ではなく、民主化の前進と政治改革が欠かせない。
 香港の議会に当たる立法会の選挙で、中国からの「独立」など、急進的な主張を掲げる新興の反中勢力が躍進した。
 定数70の半数は直接選挙枠で、残りは業界団体などによる職能枠で選ばれる。
 直接選挙枠で健闘した新興勢力と、民主派が計30議席を獲得し、重要議案の否決に必要な3分の1を超えた。親中派は過半数を確保したが、議席を減らした。
 一昨年、学生らが民主化を求めて道路を占拠した。デモ収束後も強まる中国の影響力への香港住民の警戒を示したと言えよう。
 新興勢力は若い世代が中心だ。デモの元学生指導者のほか、中国の政治干渉に反対し、「郷土」と位置づける香港の利益を最優先する「本土派」が含まれる。本土派には暴力を容認する者もいる。
 香港では「一国二制度」の下に、「高度な自治」が認められている。問題なのは、その形骸化が一段と進んでいることである。
 香港の選挙管理委員会は「香港は中国の一部分」という原則に関する「確認書」への署名を候補者に迫り、本土派ら数人の出馬資格を取り消す強硬策に出た。
 中国共産党に批判的な書籍を扱う香港の書店関係者5人が相次いで失踪した事件も、「力の統治」の表れだと受け止められている。中国当局が捜査権限もない香港から関係者を連行、拘束したといった疑惑が深まったままだ。
 納得できる説明がなければ、香港住民の間に将来への不安が広がるのは避けられまい。
 次期行政長官を「普通選挙」で決める法案が昨年6月、民主派議員の反対多数で否決された。「1人1票」の直接選挙とはいえ、親中派しか立候補できない仕組みだった。「ニセの普通選挙」と拒否されても仕方がなかろう。
 習政権は選挙結果について、「立法会内外のいかなる形式の『香港独立』活動にも断固反対する」との談話を発表した。民主派と新興勢力を分断し、結束を阻む思惑があるのではないか。
 中国の強硬姿勢に本土派などが反発し、香港当局との対立が先鋭化する事態が懸念される。
 習国家主席に求められるのは、香港の「自治」を尊重し、国際社会の信頼を得ることである。

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