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【毎日新聞】 象牙の国内取引 監視の強化が不可欠だ

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 絶滅の危機にあるアフリカゾウを保護するため、各国に密猟や違法取引につながる象牙の国内市場の閉鎖を求める決議が、南アフリカで開催されたワシントン条約締約国会議で承認された。
 日本政府は、国内の象牙は適切に管理されており、密猟を助長した事実はないとの立場で、国内市場を維持する方針だ。しかし、環境NGOなどは、日本国内にも違法取引はあると指摘している。決議に強制力はないものの、今後、監視体制を強化し、違法取引をなくさない限り、国内市場の維持に対する国際的な理解は得られないだろう。
 ワシントン条約は1990年から象牙の国際取引を原則、禁止している。だが、工芸品や薬用として象牙が人気の中国などで需要が高まり、アフリカゾウの密猟が絶えない。
 国際自然保護連合(IUCN)によれば、サハラ砂漠以南の37カ国で確認されたアフリカゾウの生息数は41万5000頭と推測され、過去10年間で約11万頭も減少した。
 密猟による象牙が各国の国内市場に流れるのを防ぐため、米国やケニアなどアフリカの10カ国が決議案を提案していた。中国も昨年の米中首脳会談で、国内取引の禁止を打ち出している。
 日本国内の象牙市場は20億円規模で、印鑑や和楽器などに使われている。だが、国内市場の管理制度には不十分な点がある。
 政府は、種の保存法に基づき、象牙の登録制度を設けている。全形を保った象牙を取引する場合、ワシントン条約で取引が禁止された90年より前に取得したことを証明し、環境相の登録を受けておく必要がある。しかし、全形象牙を所持するだけなら登録は不要だ。象牙を切り分けたカットピースは、取引時も登録は必要ない。国内に象牙の在庫がどれだけあるかすら分かっていないのだ。
 こうした状況では、象牙が違法に国内に持ち込まれたものかどうかを見分けることは難しい。
 昨年、国際環境保護団体が身分を隠し、国内の象牙業者に無登録の象牙の買い取りを打診したところ、無登録のまま買い取ろうとしたり、登録手続きを違法に代行しようとしたりした業者が何社もあったという。中国では、日本から密輸出された象牙の摘発例もある。
 国内市場を維持するのなら、取引の有無にかかわらず全形象牙やカットピースの登録を義務化し、国内の在庫量を明確にすべきだ。象牙の取扱業者は国への届け出制だが、これを許可制に移行し、監視体制も強化すべきではないか。
 そうした対応ができなければ、国内市場の閉鎖もやむを得ない。

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