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【富山新聞(富山県)】 衆院選改革案 「格差の是正」優先にも一理

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 自民党が衆院選挙制度改革案をまとめた。最高裁が求める「1票の格差」是正を最優先し、もう一つの課題である議員定数の10削減は2020年の国勢調査結果に基づいて行うという内容である。民主党などは「身を切る改革の先送り」と自民党案を批判しており、今後の関連法案審議は難航が予想される。
 定数削減は主要政党の選挙公約であり、実現が早くて22年とみられる自民党案は、改革の遅さを批判されてもやむを得まい。ただ、有識者調査会の答申にある通り、選挙制度と議席数の改革は、民意の集約、反映という機能のバランス、有権者の選ぶ権利、有為な人材を広く集めることによる国会機能の強化といった種々の要素を考慮する必要があるのも確かで、議席配分の方法と定数削減は時間をかけて議論するという自民党案にも一理あるのではないか。
 そもそも有識者の答申は、定数削減の積極的理由や理論的根拠は見いだしがたく、大幅な定数削減は適当とは言えないと指摘している。人口比でみると、現行衆院定数は諸外国より多いとは言えず、小選挙区定数を大幅に減らすと都道府県間、選挙区間の1票の格差縮小が難しくなるという理由からである。今後の人口推計に基づくと、議員定数は大都市圏の増加と地方の減少が進むばかりであり、「地方切り捨て」という批判が出ても無理はなかろう。
 それでも有識者調査会は、事情聴取した政党のうち共産、社民両党を除く各党が定数削減を公約していることから、「国民との約束」を尊重すべきとして定数10削減と最高裁が格差の原因とする「1人別枠方式」に替わる議席配分方式を提言した。
 自民党の改革案は、最高裁の違憲判断を回避するため格差是正を先行させ、定数削減は答申を尊重しながら党内の反対派へも配慮したかたちになっている。今夏の参院選とのダブル選も念頭に、衆院の解散権を縛られたくないという安倍晋三首相の思惑もあるとみられている。そうした政治的な計算があるとしても、定数削減の先送り案を党利党略、地方のエゴといった一言で切り捨てるのはいささか乱暴であろう。

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