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【佐賀新聞】 カジノ法案

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 カジノを解禁する「統合型リゾート施設(IR)整備推進法案」、いわゆるカジノ法案が衆院の内閣委員会を通過した。14日までの今国会で成立させようと、自民党は強気の姿勢で臨んでいる。
 法案は議員立法で、カジノを呼び水に集客を図り、地域経済の振興や、財政の改善につなげるのが狙いだ。カジノをはじめ、会議場やレクリエーション施設、展示施設、宿泊施設を備えた大規模なリゾート施設の建設が可能になる。国の管理の下、民間資本で整備し、収益の一部を地域に還元するという。
 すでにカジノは、シンガポールや中国・マカオなど約140カ国で合法化されている。中でもシンガポールは2010年の開業以来、急成長を遂げており、現地を視察した安倍晋三首相は「日本の経済成長の目玉になる」と高く評価していた。
 確かにカジノの経済効果は魅力的だ。大型カジノを横浜と大阪の2カ所に設けただけで、その収益は最大で73億ドル、日本円にして約9千億円に達するという試算もある。これは、ボートレース(競艇)や宝くじに匹敵する規模である。
 さらに、IR建設に当たっての設備投資や、雇用の創出なども期待できるという。
 安倍政権が成立を急ぐ背景には、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて順調に伸びてきた来日外国人観光客を、五輪後も何とかしてつなぎとめたいという思惑があるからだ。五輪後の新たな観光の目玉、それがカジノ解禁というわけだ。
 こうした動きをにらみ、万国博覧会の誘致構想を打ち出した大阪が、大阪・夢洲(ゆめしま)地区へのカジノ誘致に手を挙げるなど、全国各地で動きが活発になってきた。九州では、長崎県のハウステンボスも候補に挙がっている。
 だが、大きな課題が横たわったままだ。ギャンブル依存症対策である。
 日本国内にはギャンブル依存の疑いがある人は500万人を超えると推計されている。重症化すると、人間関係の破綻や多額の借金などのトラブルを抱え、最悪の場合は自殺するケースさえある。
 カジノを解禁すれば、即座に患者が急増するという見立ては短絡的に過ぎるかもしれないが、いかにギャンブル依存を抑えるかを置き去りにするわけにはいかない。日本にはカジノはなくとも公営ギャンブルやパチンコが身近にあり、依存症対策が遅れている実態があるからだ。
 国内には専門外来をもつ医療機関が全国に十数カ所しかなく、いかにも貧弱だ。この機に患者や家族をどう支援していくか、予防も含めて論議しておくべきだ。
 依存症問題のほかにも、マネーロンダリング(資金洗浄)に使われないか、暴力団などの資金源につながらないかなどの懸念もある。青少年の健全育成への悪影響や治安の悪化も気がかりだ。
 副作用がはっきりと見えているだけに、どう規制をかけるかが焦点になる。審議入りからわずか3日で委員会を通過、衆院本会議にかけるとは、あまりにも拙速ではないか。与党も公明党は自主投票にとどめるなど法案への不安は根強い。ここはしっかりと時間をかけて議論すべきだ。(古賀史生)

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