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【FinancialTimes】 米共和党の法人税改革案は筋違い

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 税や貿易などの問題について常軌を逸した案がいくつも出ている今のワシントンにあって、真剣な吟味に値する案を目にすると新鮮な気分になる。米議会共和党は、広く知られるように機能不全に陥っている米国の法人税制で大幅な改革案を示した。ドナルド・トランプ氏が20日の大統領就任後に同意することを期待している。 会合を終えて移動するトランプ氏(中央)。米国の法人税制で改革案を示した議会共和党は、同氏が大統領就任後に同意することを期待している=ロイター
 税制を簡素化し、ゆがみをなくすことを目的とするこの改革案は、紛れもない懸念に対処している。だが、つぶさに見てみると、共和党案よりも簡素で混乱を招く恐れも少なく、貿易戦争につながりにくい改善策がある。
 共和党案はいくつかの要素から成るが、特に目を引くのが政治的反発を呼ぶ支払利子控除の廃止だ。その一方で、設備投資の費用を複数年に分けずに単年で控除できるようにする。米国の貿易相手国にとって関心の焦点は、輸出収入に対する税の軽減を拡大する一方、輸入品の費用を利益から控除することはもう認めないとし、付加価値税に似た仕組みにやや近づけようとしている点だ。
 総体的な正味の効果により、先進国で有数の高さにある法人税の最高税率を現在の35%から15~20%に引き下げることが可能になり、米国企業が課税を逃れるために海外での利益を本国に戻さず、現地に滞留させている誘因を減らせるという。
 この案は確かに、いくつかの重要な問題に対処している。米国の法人最高税率は35%と比較的高いものの、国内総生産(GDP)に占める法人税収の割合は先進国の平均水準に近い。あまりにも多い抜け穴や免除が税収を減らしている。法人税率を引き下げれば、米国企業が租税回避のため海外に利益をため込む誘因を減らせるだろう。
■包括的な改革より的を絞った変更を
 だが、それよりずっと簡素な方法は、まず海外収益の抜け穴をなくし、国内課税に対する米国企業の盾として使われているタックスヘイブン(租税回避地)を積極的に取り締まることだろう。十分な規模で取り組めば、法人税率の引き下げも可能になり、したがって海外で資金を留保する誘因も減らせる。
 国際的な側面に関しては、輸出と輸入のバランスを変えようとすることは大きな混乱を引き起こす公算が大きく、さしたる成果につながらない恐れもある。その動機は理解できる。米国企業は長年、欧州連合(EU)各国や他の国々への輸出品には相手先の市場で付加価値税がかかるのに、同じ国々からの輸入品には付加価値税がかからないと不満を訴えてきた。だが、為替レートがその差の一部を相殺する方向に働きやすい上に、近年の日本のような消費税への移行が貿易収支の変化につながるという証拠もほとんどない。
 一方、輸入企業を罰することは政治的に魅力的かもしれないが、供給網に深刻な混乱を引き起こす恐れが強い。加えて、公平かどうかはともかく、所得に対する直接税を消費に対する間接税と別扱いした世界貿易機関(WTO)の過去の裁定に基づき、そのような動きは国際法違反と見なされる可能性が高い。
 共和党案は、株式と借り入れの税制上の扱いや、最高税率は高くても抜け穴が多い法人税の非効率性など、大きな関心を払うべき問題に焦点を合わせている。だが、これらは、一部の問題を解決する一方で新たな問題を生み出す包括的な改革よりも、的を絞った変更で対処したほうがいい問題だ。

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