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【北海道新聞】 慰安婦像問題 大使不在いつまで続く

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 岸田文雄外相と韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外相がドイツで会談し、岸田氏は釜山の日本総領事館前にある従軍慰安婦少女像の撤去を求めた。
 尹氏は「可能な限り最大限の努力を行っていく」と表明した。
 昨年末に少女像が設置され、日本政府が年明けに対抗措置として長嶺安政駐韓大使らを一時帰国させてから1カ月以上がたつ。
 この間、北朝鮮の弾道ミサイル発射や、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄の金正男(キムジョンナム)氏殺害事件があった。
 依然不透明な北朝鮮情勢に日韓が結束して対処するために、大使不在の不正常な状態は早く解消する必要がある。
 まず、韓国政府は撤去に向けた具体的措置を実行し、大使帰任の環境を整えてもらいたい。
 一方、日本政府も韓国側の出方待ちの姿勢でいいのだろうか。
 北朝鮮情勢や混乱する韓国政局に関する情報収集は大使の重要な任務である。そのことも考慮に入れ、帰任を検討すべき時だ。
 尹氏は、外国公館の近くへの施設や造形物の設置は不適切だとの認識を示し、慰安婦問題を巡る日韓合意の着実な履行を強調した。
 岸田氏は会談後、韓国側から「いま行っている措置」の説明を受けたと述べている。何らかの対応を検討中なのかもしれない。
 とはいえ予断は許さない。朴槿恵(パククネ)大統領が職務停止中という脆弱(ぜいじゃく)な政権が、世論の激しい反発を抑え少女像撤去を実現するのは容易でないとみておいた方がいい。
 岸田氏は大使の帰任は「全く決まっていない。結果が大事だ」と述べた。韓国が実効支配する島根県・竹島にも少女像設置の動きがあり、振り上げた拳はまだ下ろせないという考えなのだろうか。
 しかし、今回の外相会談は韓国側が申し入れ、少なくとも事態打開に努める姿勢は伝えてきた。
 日本政府は日韓合意に基づく10億円を拠出済みである。だからといって、少女像撤去に向けた韓国側の責任を指摘するだけでは、韓国世論をさらに硬化させる。
 それによって、韓国国内で大統領選に向け合意をほごにするような主張が勢いづけば、結果的に日本の利益にもならない。
 「全ての元慰安婦の名誉と尊厳を回復し、心の傷を癒やす」のが日韓合意の最大の目的である。
 その趣旨が韓国社会にまだ受け入れられていない事実は日本政府も正視し、理解が得られるよう韓国政府と知恵を絞るべきだ。そこで大使が果たす役割は大きい。

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