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【河北新報】 韓国大統領罷免/「社会変革」への礎とせねば

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 この国の民主主義が傷つけられ、混迷と分断が深まる国政、国情をこれ以上、放置することはできない。そんな強い危機感の表れだったと言えるのではないか。
 韓国の憲法裁判所が、国会で弾劾訴追された朴槿恵(パククネ)大統領の罷免を決定したことである。朴氏は失職。60日以内に出直し大統領選が行われる。
 朴氏について憲法裁は、親友の崔順実(チェスンシル)被告による国政介入を許し「国民の信任を裏切った」と、国民主権をないがしろにしたことを指弾した。
 さらに、大統領権限を乱用し崔被告による利益追求に手を貸したと指摘。国政介入の徹底的な隠蔽(いんぺい)を図ったなどとし「憲法を守る意志がなかった」とまで言い切った。
 法治国家の大原理を大統領自らが踏みにじったと断罪した。罷免に値するとしても、選挙で選ばれた国家元首を解任するという未曽有の決定は重かったに違いない。
 その高い壁を乗り越えられたのは、8割近い国民が弾劾を支持した世論の後押しがあったからであり、国内の混乱を早く修復せねばとの切迫感があったからではないか。
 「今回の決定が国論分裂の終息や和解の道への契機となることを期待する」。この決定文のくだりがその証しだ。
 朴氏支持派と罷免賛成派、保守と革新の対立が激化する事態は避けたい。冷静な対応こそが、国を揺るがしたこの混沌(こんとん)から抜け出す道だ。「隣人」にそう呼び掛けたい。
 国政介入事件のうち、崔被告が支配する2財団に対する資金提供を巡っては、朴氏と崔被告が共謀し韓国最大の企業グループ・サムスングループから多額の賄賂を受け取った疑いが強まり、同グループトップが起訴され、追起訴された崔被告と共に、朴氏は「収賄容疑者」と認定された。
 大統領罷免が決まり、朴氏が不起訴特権を失ったことで逮捕、起訴が可能となる。大統領の犯罪と、この大型疑獄がどこまで解明されるのか、捜査の進展を待ちたい。
 それにしても、韓国の歴代政権はなぜスキャンダルを引き起こすのか。そこには権限が集中する「強い大統領」制度があるとの指摘は多い。
 縁故人事に加え肉親や側近らが権勢を振るいがちで、便宜と利権を介し経済界と癒着する。大統領罷免の背景に国民世論があるのだとすれば、このかつてない劇的な結末を礎に、そうしたあしき政治と社会を変革せねばなるまい。
 出直し選挙では、縮小を含め大統領権限の在り方を巡る改憲をも論点の一つとすべきだ。その上で、政治の安定を取り戻したい。民主化30年の真価が問われる局面だ。
 日本にとって韓国政治の安定は、北朝鮮の核・ミサイル問題に連携して対処する上で不可欠だ。慰安婦少女像を巡る対応に反発し、一時帰国させた駐韓大使の帰任についても、新政権との対話を見据え検討を急ぐべきではないか。

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