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【河北新報】 GPS捜査は「違法」/これまでの実態検証が必要

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 犯罪摘発のためなら、どんな捜査手法でも許されるのだろうか。もちろんそんなことはあり得ない。
 捜査で人権やプライバシーが侵される危険性は決して低くない。社会的に許される手法かどうかは絶えずチェックしなければならないし、技術の発達に伴う新たな捜査手法の導入は慎重の上にも慎重に検討する必要がある。
 警察が特定の人物の車にひそかに衛星利用測位システム(GPS)端末を取り付け、位置情報を得ていた「GPS捜査」について、最高裁が違法捜査に当たるという初めての統一判断を示した。
 GPS捜査に対しては、逮捕や家宅捜索と同様の強制捜査か、それとも尾行などと同じレベルの任意捜査なのかで司法判断も分かれていた。強制捜査なら当然、裁判所による令状が必要となる。
 最高裁は今回、強制捜査とみなしたが、現在の法律による令状で行うのは困難だという考えも示した。つまり現行法の枠外の違法な手法であり、行うなら新たな法整備が必要だということになる。
 ほとんど令状を請求せず、任意捜査の一環として勝手に行ってきた警察に強く警鐘を鳴らす結果になった。
 GPS捜査はここ10年ほどで広まったとみられる捜査手法。個人の行動を簡単に追跡できるのだから、プライバシーを侵害する可能性は相当に高い。捜査に利用されてきたとはいえ、具体的にどんなケースでどういう人に適用されたのかも判然としない。
 警察庁が全国の警察に「保秘の徹底」を指示してきたためで、取り調べ段階になっても容疑者に知らせなかった。さらに捜査書類にも、GPS端末の利用をほのめかすような表現をしないよう求めてきた経緯がある。
 昨年、令状で行う方法も認めたが、ほとんど極秘で違法捜査を続けてきたことになる。これではたとえプライバシーや人権の重大な侵害があったとしても誰にも分かりようがなく、空恐ろしくなる。
 違法と指摘された以上、警察庁はまずこれまでの具体例を明らかにすべきだ。犯罪がどの程度疑われる段階で利用したのか、犯罪と無関係の人の車にまで取り付けたことはないのかなど、公表すべき情報は多い。
 今後、新たな法律の検討が始まるかもしれないが、安易に制定に向かうのは禁物だ。
 通信傍受法の改正で、警察は令状を取ればかなり広範な犯罪で電話やメールの内容を知ることができるようになったし、「共謀罪」の導入も検討されている。
 犯罪捜査という名目があれば、プライバシー情報がいとも簡単に筒抜けになりかねない時代に差し掛かった。技術的には、公権力による「監視社会」も夢物語ではなくなっているだけに、捜査手法の吟味や乱用の歯止め策が極めて重要になっている。

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