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【毎日新聞】 オランダ下院選 楽観できぬ極右の失速

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 欧州連合(EU)離脱を決めた英国、トランプ大統領を誕生させた米国に続き、欧州大陸にも反グローバリズムの波が広がるか。今年欧州で相次ぐ選挙の行方を占ううえで注目されたオランダ下院選は、イスラム排斥とEU離脱を訴えた極右・自由党が伸び悩み、議席を増やしたものの第1党には届かなかった。
 ルッテ首相率いる中道右派の与党・自由民主党は、議席を大幅に減らしながらも第1党の座を確保した。政権の枠組みは今後の連立交渉にかかってくるが、ひとまず大きな混乱は回避できた。
 フランス、イタリア、ドイツなど他の欧州諸国首脳らも、この結果を歓迎している。
 自由党は、モスク(イスラム礼拝所)の閉鎖やイスラム諸国からの移民受け入れ停止などを掲げ、移民増加に不安を強める国民を引きつけて社会の分断をあおってきた典型的なポピュリズム(大衆迎合主義)政党だ。当初の勢いを保って第1党になれば、フランス大統領選やドイツ総選挙でも極右政党をさらに勢いづかせる可能性があった。
 またオランダは60年前、現在のEUの母体である欧州経済共同体が生まれた時の原加盟国である。反EUの自由党が躍進すれば、欧州の統合路線を土台から揺さぶることになっただろう。
 だが選挙戦の終盤で自由党の勢いは失速した。その理由として、「オランダのトランプ」とも呼ばれたウィルダース党首が身の安全を理由に公の場に出る機会をひかえたこと、米トランプ政権の混迷ぶりへの失望がマイナス要因に働いたことなどが挙げられている。
 ルッテ首相が、極右に票が流れることを阻止しようと移民への厳しい姿勢を強めた影響もあるだろう。
 首相は今年1月、イスラム系移民を念頭に、男女平等などオランダの価値観に同意できない者は「この国にとどまるべきではない」と訴える新聞広告を出し、移民の増加で伝統が破壊されることへの国民の不安を鎮めようとした。
 だが言い換えれば、移民を警戒するオランダ社会の分断の芽は消えていないとも言える。緊縮財政や不安定な雇用、経済格差の広がりなどによる国民の政治不信を解消していかなければ、今後も極右勢力の浸透を防ぐことはできない。
 オランダと同様にイスラム系移民の比率が高い隣国フランスでは、4月の大統領選に向け、反移民を掲げる極右・国民戦線のルペン党首の勢いは衰えていない。オランダでの極右の失速が、欧州全体の流れを変える契機になると楽観するのは、早計だろう。

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