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【産経新聞】 オランダ下院選 排他主義への「待った」を

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 オランダ下院選で、反移民や反欧州連合(EU)を掲げ幅広い支持を得ていた自由党の躍進に待ったがかかった。
 「自国第一」や排他的な主張を前面に出すポピュリズム(大衆迎合主義)が、欧米で勢いづいている。
 与党自由民主党が下院選で第一党を維持したのは、新興勢力が浸透する一方ではないことを表した。ひとまず安堵(あんど)できる結果といえよう。
 自由党のウィルダース党首は、イスラム教の聖典コーランや礼拝所の廃止を公約に挙げ、過激さを際立たせていた。
 トランプ米大統領は過激発言を重ねながら超大国の指導者に就いた。イスラム圏からの入国制限措置にウィルダース氏は賛意を表しているが、米国の混乱が自由党失速の一因とも指摘される。
 自民党も議席は減らし、連立相手の労働党が惨敗した。既成勢力への批判はなお根強い。
 欧州では2015年以降、大量の難民が押し寄せ、治安が悪化したとされる。テロの頻発に、人々が不安を募らせるのは事実だ。
 オランダは移民を積極的に受け入れてきただけに、移民に仕事を奪われる危機感や、福祉の恩恵が移民にのみ手厚いといった不満を抱く人も少なくない。
 ポピュリズム勢力の主張は、こうした人々の心に響いたのだろう。だが、治安や福祉は単に国を閉ざし、他者を排斥することで解決する問題ではない。強引な手法が大きな混乱を招くことは、米国から学びとれる。
 米国では、入国条件を緩和した2度目の大統領令が出されたものの、司法から改めて差し止めを命じられるなど収拾がつかない。こうした状況が、欧州各国の動向に影響を与える可能性はある。
 オランダはフランス、ドイツなどとともに「EU原加盟6カ国」と称され、統合推進派として知られる。それだけに、反移民、反EUの流れにのみこまれなかった意味は小さくない。
 4~5月のフランス大統領選では、国民戦線(FN)のルペン党首が首位を争う。ドイツでは9月の連邦議会選に向けて「ドイツのための選択肢(AfD)」が勢いを増す。いずれも反移民やEU離脱などを主張している。
 英国の離脱交渉が近く始まり、EUは統合深化をめぐる岐路に立たされる。情勢を注視したい。

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