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【河北新報】 春闘大手回答/家計底上げ 本番はこれから

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 これから本番を迎える中小企業や地方での交渉にどんな影響を及ぼすか。期待より懸念が先立つ結果ではある。
 2017年春闘は、相場をけん引する大手の自動車や電機などで回答があった。焦点のベースアップ(ベア)は4年連続で実現した。だが多くの企業で、前年の水準を2年連続して下回った。
 安倍政権が求めた「前年並み」はかなわず、政権主導の「官製春闘」は4年目を迎え色あせたといえる。政権がいくら旗を振っても、賃上げがその時々の経済環境に左右されるのは当然のことだ。
 自動車や電機は16年度前半に円高で業績が圧迫された上に、保護主義色が濃いトランプ米政権の誕生で、主力の米国市場を含め経営の先行きに不透明感が強い。恒常的な人件費増につながる大幅ベアに二の足を踏んだのだろう。
 一時金(ボーナス)は満額回答でも、賃金水準を底上げし将来の所得増を担保するベアが低水準では、景気の好循環につながる消費刺激効果は限定的とならざるを得まい。
 一方で気になるのが物価の動きだ。1月の消費者物価指数が1年1カ月ぶりに上昇した。原油価格が持ち直したためで、加えてトランプ政権の経済政策期待などから円安が進み今後、食料品や日用品が値上がりしかねない。
 物価が上昇基調に転ずれば大手と賃金格差がある中小、地方で働く人たちにとって、家計の負担はより重くなる。賃金は暮らしの土台であり、継続的な賃上げは家計の底上げに不可欠だ。
 今春闘でも格差是正は柱の一つ。要求額の水準は、中小が大手を上回るケースが目立つ。そのベア獲得と格差縮小に向け、大手の回答に引きずられることなく、今後本格化する交渉に当たりたい。
 確かに、アベノミクスの恩恵とは無縁で人手不足などから経営環境が厳しい地方の中小企業にとって、ベア実施は容易ではあるまい。だが賃上げ企業を対象とした減税を含む政府支援策も活用し、可能な限り応えてもらいたい。
 もう一つの柱である働き方改革では、幾つかの新しい動きが見られた。
 電機大手の労使は長時間労働の是正を目指し「最大限の努力」をうたった共同宣言を初めてまとめた。
 非正規労働者の待遇改善では、その不合理な格差解消に向けまとめた政府の同一労働同一賃金指針案に沿う形で、KDDI労組が正社員と同じ月数のボーナスを要求。支給額アップにつなげた。
 そうした「変化」を広く地方にも波及させたい。
 特に非正規の正社員化を含む処遇改善は、消費拡大による景気浮揚に欠かせない。人手不足の中で人材を確保するため、経営者にとっては避けて通れない課題であり、労組にとっては組織拡大に向け連携すべき「同志」である。実のある労使交渉を期待する。

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