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【読売新聞】 DeNAサイト 情報を発信する責任は重い

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 利益に目を奪われて、記事発信の原則を蔑(ないがし)ろにした代償は大きい。
 IT企業ディー・エヌ・エー(DeNA)のまとめサイト問題で、弁護士で構成する第三者委員会が調査報告書を公表した。
 37万件を超える記事から400件を抽出して調べた結果、全体で最大5・6%の記事に著作権侵害の可能性があったという。画像についても、全体の16%に当たる約75万点に侵害の疑いがある。
 著作者保護の意識が欠如していると言うほかない。問題発覚後の昨年12月に、DeNAが全10サイトを休止したのは、当然だ。
 サイト開設に伴う巨額の投資だけでなく、利用者からの信頼も失ったと言えよう。
 報告書で注目すべきは、DeNAのまとめサイトについて、「プラットフォームではなくメディアだ」と判断した点である。サイトは一般利用者の投稿の場である「プラットフォーム」だ、というDeNAの主張を否定した。
 多くのサイトでは、投稿の占める割合は5%以下で、ほとんどは、DeNAが企画、執筆に関わる記事だった。それを考えれば、報告書の見解はうなずける。
 DeNAがプラットフォームだと主張すること自体、内容に関して責任を負うのを回避しようという意図の表れだ。
 メディアである以上、記事には法的、社会的な責任が伴う。記事を公開する際には、正確性や公正性への細心の配慮が不可欠だ。
 DeNAの実態は、それとはほど遠いものだった。医療系サイトの「ウェルク」では、専門知識を有する編集者はおらず、医療関係者らの監修も経ていなかった。
 参照先の文章を丸ごとコピーしたり、原文の単語や表現を変えたりしただけの記事も多かった。
 サイトの製作現場は、閲覧数を伸ばして、広告収入を増大させることに追われていたという。第三者委の弁護士は「数値偏重から公正な稼ぎ方に変えるべきだ」と戒めた。もっともな指摘だ。
 DeNAは、守安功社長の役員報酬を半年にわたって50%減額するなど、関係者30人の処分を決めた。日本を代表するIT企業の一つであるDeNAは、抜本的な意識改革を避けて通れまい。
 ネット上の情報を集めるまとめサイトは、著作権侵害の危険性と隣り合わせだ。他社でも同様の問題が生じている。一部のサイトを閉鎖した運営企業もある。
 業界全体で、サイトの健全化に努めなければならない。

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