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【読売新聞】 オランダ下院選 排外主義勢力の伸長は侮れぬ

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 排外主義勢力がオランダを席巻する事態は、回避された。だが、影響力の拡大は、欧州連合(EU)にとって不安材料だと言えよう。
 オランダ下院選で、ルッテ首相率いる中道右派の自由民主党が議席を減らしながらも、第1党の座を守った。
 「反イスラム」と「反EU」を掲げる大衆迎合主義(ポピュリズム)政党、自由党は第2党にとどまった。選挙直前までは支持率でトップに立っていた。
 自由党のウィルダース党首は、男女平等など欧州共通の価値観とイスラム教が相いれないことを訴え、オランダの「イスラム化」阻止を唱えた。
 イスラム圏からの移民受け入れ停止や、国内モスクの閉鎖などを公約に並べた。ツイッターを多用し、EUとの協調を優先する既成政党の政策を激しく攻撃した。
 EU原加盟国であり、ユーロ圏に属するオランダで、自由党が勝利すれば、EUへの深刻な打撃となったのは間違いない。
 自由民主党が踏みとどまった意義は大きい。EU重視の他党と連立政権を樹立する見通しだ。ルッテ氏は、「オランダは誤ったポピュリズムに『ノー』をつきつけた」と勝利宣言した。
 トランプ米大統領による入国制限など強引な政治手法を巡る混乱や、英国のEU離脱の先行き不透明感が、有権者の安定志向にアピールした側面もある。
 欧州統合の推進役であるドイツのメルケル首相は、ルッテ氏に対し、「友人、欧州人として協力していきたい」と祝福した。
 留意すべきは、選挙戦でルッテ氏が反イスラム票を取り込むために、移民に厳しい姿勢を打ち出したことである。
 新聞広告で「男女平等などの社会規範を尊重できないなら、国から出て行け」と警告した。
 トルコに対しても、強い姿勢で臨んでいる。オランダで開かれた政治集会に参加しようとしたトルコ閣僚の入国を拒否した。
 もともと国民の間で、トルコなどからのイスラム系移民が仕事を奪い、社会秩序を乱す、という漠然とした不安が膨らんでいることは否定できない。そうした状況を軽視できなかったのだろう。
 4~5月の仏大統領選では、国民戦線のルペン党首が、台風の目だ。反イスラムと反EUを強調して支持を広げる。
 EUがポピュリズム伸長という試練を克服し、結束を保てるのか。情勢を見極めねばならない。

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