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【北國新聞】 文化財の再現・修復 加賀藩ゆかりの技を発信

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 高岡銅器と井波彫刻の技を駆使して制作した国宝「釈迦三尊像」(法隆寺所蔵)の再現像が高岡市のウイング・ウイング高岡で公開され、海外メディアも取材に訪れた。来年にはパリで開催される日本博への出展も検討されている。藩政時代から受け継がれてきた加賀藩ゆかりの工芸技術を広く発信し、業界の振興に寄与することを期待したい。
 再現像は高岡銅器、井波彫刻の伝統技術と、3Dプリンターなど最先端のデジタル技術を組み合わせ、東京芸大の総合監修で2015年から制作が進められてきた。実物と同じ素材で、質感も忠実に再現されており、伝統的な工芸技術の新たな可能性を切り開くプロジェクトと言えるだろう。
 伝統技術を現代に生かす取り組みは、再現像のプロジェクトに限ったものではない。石川県では、全国の自治体で唯一となる県文化財保存修復工房が1997年度に開館し、今年度は県内外から26件の修復依頼があるという。開館以来、修復した文化財は国宝1件を含めて、累計で403件にも上っている。
 また、全国の職人で組織する日本伝統職人技術文化研究会(富山市)は、高野山真言宗の総本山・金剛峯寺(こんごうぶじ)に奉納する「唐櫃(からびつ)」を制作する。井波彫刻や高岡銅器などの最高の技を結集し、「平成の国宝」として18年10月の完成を目指している。
 これらの取り組みは、この地に根づいている工芸文化の豊かな土壌にあらためて光を当て、その価値を再認識させてくれる。伝統工芸の業界はおしなべて苦境にあるが、卓越した技をしっかりと継承し、時代のニーズに応える力を蓄えていってもらいたい。
 北陸三県では20年の東京五輪・パラリンピックに合わせて、世界の伝統工芸品を集めた「国際工芸サミット」(仮称)が企画され、今秋には富山、20年に石川で開催される。工芸の名品にとどまらず、伝統に裏打ちされた文化財の再現・修復技術を世界に発信する格好の機会ともなる。石川、富山の関係団体が連携し、技術を紹介することも検討してはどうか。

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