Home > 社説 > 地方紙 > 北陸地方 > 富山新聞(富山県) > 【富山新聞】 対北朝鮮政策 米の軍事オプションに懸念
E160-TOYAMA

【富山新聞】 対北朝鮮政策 米の軍事オプションに懸念

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 日本を訪問したティラーソン米国務長官が会見で、「過去20年間の対北朝鮮政策は失敗だった。新たなアプローチが必要だ」と述べた。トランプ政権が北朝鮮に対し、軍事オプションを含めた強硬策の検討を真剣に行っているとした米メディアの報道を裏付ける発言である。
 オバマ前政権は北朝鮮に対し、「戦略的忍耐」で臨んだが、結果として北朝鮮に核・ミサイル開発を行う時間を与えただけだった。トランプ政権が米本土を射程に入れる大陸間弾道弾(ICBM)の開発が完了する前に、北朝鮮の脅威を取り除きたいと考えても不思議はない。
 米韓両軍は今月から2カ月間の予定で北朝鮮の脅威に備えた定例の合同軍事演習を開始した。北朝鮮は昨年に続き、金正恩朝鮮労働党委員長ら首脳部を事前に排除する「斬首作戦」を想定した訓練が実施されるとして強く反発している。在日米軍基地をターゲットとした弾道ミサイル4発を能登半島沖などに同時発射したのも米国へのけん制が狙いだろう。
 米国の「斬首作戦」は、ウサマ・ビンラディン殺害のように、米軍特殊部隊が正恩氏を強襲すると同時に、ミサイル部隊に対する空爆などの直接攻撃やサイバー攻撃を行うとされる。
 だが、韓国の首都ソウルは、北朝鮮軍の砲撃により甚大な被害が出る恐れがある。また、攻撃目標の核・ミサイル施設の所在地が全て判明しているわけではないため、ミサイルで即座に反撃されれば、日本も被害を受ける可能性がある。こうした状況下で、軍事オプションを行使するのは危険だ。
 ただ、米国の軍事オプションは、朝鮮半島の有事を懸念する中国への圧力になり得る。中国は金正恩体制に不満を持ちながらも北朝鮮が不安定化することを望んでいない。米中が北朝鮮問題で新たな一致点を見いだせるかどうかが危機回避の試金石となろう。
 韓国では、朴槿恵氏の後継を決める大統領選が5月にも行われる。最有力とされる野党候補は、北朝鮮に融和的ともいわれている。米韓同盟が揺らぐ可能性があり、こちらも大きな懸念材料だ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。