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【福井新聞】 丹南と韓国扶余の交流 産業分野での進展に期待

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 【論説】丹南地域と韓国扶余(プヨ)郡の交流が始まって10年が経過した。これまで歴史を踏まえた文化的な交流事業が進められてきたが、今後さらに産業分野での交流を深めたい。
 扶余は韓国中央西部にある地方都市。百済最後の都が置かれ、660年に唐・新羅の連合軍によって滅ぼされるまで123年間続いた。この間、百済文化が花開き、精巧な瓦やれんが、陶器などを生産。日本へ仏教を伝えた地として記念碑も立っている。
 一方、丹南地域は和紙や漆器など日本でも有数の伝統産業の集積地。その技術や知識は、渡来人らによって中国大陸や朝鮮半島から伝わり、百済はルーツの一つとされる。
 また、古代の越の国ゆかりの継体大王と百済の武寧王は親密な関係にあったとみられている。
 こうした縁から2007年、継体大王即位1500年の記念の催しで、同郡の使節団が丹南地域を訪れ交流が本格化。09年には同地域の市民や商工業者らでつくる「こしの都クラブ」を母体に「こしの都・百済文化交流協会」が設立され、同郡と「文化観光交流」の協定を締結した。
 協会は11年、同郡の定林寺址博物館に丹南の伝統産業を紹介するコーナーを開設。このほど新たに越前箪笥(たんす)など15点の工芸品を加え、コーナーをリニューアルした。
 これまでの交流は、同郡を訪ねるツアーや両地域を舞台にした映画製作などが行われてきたが、産業分野での連携も期待されている。同郡には優れた伝統工芸があったが、多くは戦乱などで途絶えてしまった。近年、郡はそうした技術の復活に力を入れ、今夏には「百済瓦文化館」がオープンする。
 李龍雨(イヨンウ)郡守は、両地域の伝統工芸分野の専門家や関係機関の情報交換を進めたいとの意向を示している。丹南の伝統工芸の工房群は「日本遺産」への認定を文化庁に申請中で、認定されれば海外からの注目度も高まるだろう。新たな知識を得、技術の向上のためにも伝統工芸産地への相互訪問を実現したい。
 また丹南の伝統工芸品を同郡の一大イベント「百済文化祭」の物産コーナーで紹介したり、同郡の主産業である農業の特産品や焼き物などの伝統工芸品を、丹南の産業フェアで紹介したりしてみてはどうだろう。
 協会のさまざまな企画を立案し、扶余郡の広報大使も務める吉田登喜男さんは「文化、人に続いてこれからは産業交流が重要。一緒に商品開発に取り組むなどして、何か新しいものが生み出せれば」と語る。李郡守が期待する「多様な交流のモデル」となるよう知恵を絞りたい。

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