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【信濃毎日新聞】 憲法の岐路 議員任期延長 「お試し」には乗れない

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 この国会で初の衆院憲法審査会が開催された。災害などのとき国会議員の任期を延長する緊急事態条項が主なテーマになった。自民党がかねて必要性を主張する条項である。
 緊急時に国会議員が不在でいいのか―。一見説得力があるように見えてその実、国民に受け入れられやすい改憲項目から手を付けたい思惑がにじむ。「お試し改憲」論だ。安易には乗れない。
 憲法審がこの問題を本格的に論議するのは初めてだ。環境権など他の改憲条項に国民の支持が得られないことから自民党内で浮上したテーマである。
 衆院議員の任期は4年と憲法に定められている。首相が衆院を解散すれば4年を待たず失職する。参院議員の任期は6年で、3年ごとに半数が改選される。
 問題とされるのは主に、▽衆院解散直後に緊急事態が起きる▽緊急事態が進行している最中に任期が来る―場合である。
 審査会で自民の議員は、大災害により被災地で選挙ができなくなれば「被災地選出議員は不在になる」と延長の必要性を主張した。民進、公明、日本維新の会は延長に慎重な姿勢を示した。共産、社民は反対した。
 緊急時に議員が不在になる事態は、できれば避けたい。有事の場合はなおさらだ。
 だとしても、任期延長のための改憲論議をいま進めることには賛成できない。
 明治憲法下で衆院の任期が延長されたことがある。1941年2月のことだ。緊迫した情勢下で選挙をすると国政について不必要な議論を誘発する、との理由からだった。真珠湾攻撃はそれから10カ月後のことだ。
 任期延長は言い換えれば選挙の先送りだ。政治に民意を反映させる機会は最大限確保されるべきだ。これが第一の理由である。
 理由の第二は自民の改憲草案にある。緊急事態条項として任期延長に加え、人権制限や首相の権限強化が盛り込まれている。国民は政府の指示に従わなければならない。自民の延長論は政府権限肥大化とセットである。
 衆院の解散後、緊急の必要があるときは内閣は参院に緊急集会を求めることができる、との規定が憲法にある。最悪の場合、法案や予算案は参院だけで可決できる。なぜ緊急集会ではだめなのか、自民から説得力ある説明はない。 (3月21日)

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