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【中国新聞】 違法天下り拡大 悪弊根絶への正念場だ

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 問題の根深さがあらわになった。文部科学省の天下りで、新たに30件を超す国家公務員法違反が同省の調査で判明した。内閣府の再就職等監視委員会による判明分と合わせれば、違法事案は約60件に上る。
 新たに突き止めた中には、文科省職員が外務省や内閣府の退職者の再就職を大学にあっせんした事案もある。他府省庁にまたがる由々しき事態だ。
 調査結果はきょう開催予定の監視委に報告され、了承が得られれば最終報告として公表される。今度こそ、悪弊を絶ちきる節目にできるだろうか。
 文科省の天下り問題は1月、監視委の調べで発覚した。元高等教育局長が早稲田大教授に再就職した件をはじめ、人事課OBを調整役とする組織ぐるみのあっせんルートも明るみに出た。関与した前事務次官ら7人は既に懲戒処分されている。
 違法事案の件数は今回、同省が2月に公表した中間報告から倍増している。外部からの目を加え、強化した調査体制が功を奏したのではないか。
 松野博一文科相は、外部の弁護士らも加わる調査班を省内に設け、全職員やOBへの聞き取りなどを進めてきた。3月には、さらに弁護士を追加選任するなど陣容を固めた。第三者の視点を今後、普段からの監視にも生かせるように手だてを講じるべきだろう。
 調査と処分はゴールではない。大事なのは、調査を踏まえた再発防止策である。文科省は、その方針を固めたという。内部調査を年1、2回実施し、監視を強める。これまで多くの違法事案に関与した人事課とは別の部署に監視体制も整える—。省を挙げて取り組もうとする姿勢は買いたい。
 半面、職員向けの方針には首をかしげざるを得ない。再就職先の求人や紹介依頼を受けた場合に記録を残すルールなどの明文化、研修の徹底、違反者に対する罰則の周知などを挙げるにとどまっている。
 2007年の国家公務員法改正で、もとより天下り規制は強化されている。にもかかわらず、組織的あっせんの悪弊が続いたのは、一つには大学に対する文科省の影響力が強まっていることがあろう。
 18歳人口の減少傾向が続き、入学定員割れで経営に苦しむ大学は少なくない。国からの補助金は頼みの綱といえる。文科省とのパイプ役となる元官僚が身内にいれば—と大学側が考えたとしても、決して不思議ではなかろう。文科省は自らの立場や「権力」をいま一度、心得るべきである。
 また、同省は霞が関の中でも面倒見のよい省庁として知られる。そんな空気が、組織ぐるみの違法行為につながったのではないかとの指摘もある。
 ただ、根底にある問題は省庁の人事システムにほかならない。局長や次官のポストが限られ、キャリア官僚は定年前の退職を余儀なくされるため、再就職先が必要となる。その改革を放置したままでは、組織体質の見直しは進むまい。
 同省は今国会に、給付型奨学金制度創設や教職員の定数拡充に向けた法改正案を出している。天下り問題を抱えたままでは、せっかくの施策もかすむ。調査結果を実効ある再発防止策に結べるか。正念場である。

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