Home > 社説 > ブロック紙 > 北海道新聞 > 【北海道新聞】 「問題生徒」名簿 作る必要があったのか
E035-HOKKAIDO

【北海道新聞】 「問題生徒」名簿 作る必要があったのか

1 点2 点3 点4 点5 点 (未評価)  
Loading...

 埼玉県熊谷市の市立中学校が、生徒の非行防止を目的とした会議で、問題行動があるとする生徒の個人情報が書かれた資料を配布していたことが明らかになった。
 生徒の実名や非行歴、家庭状況に加え、本人の成績や興味・関心など、個人の具体的な属性まで記されていた。
 自治会長や民生委員、PTA役員の他、市教委や熊谷署の担当者ら17人が出席しての会議である。
 非行防止に向けて学校と地域が協力し、実態を把握して情報を共有することは重要だ。
 だが、これほど詳細な個人情報を、任意の組織の会議に提供する必要があったのか、疑問が残る。
 資料は「地域ぐるみで見守る必要がある生徒」として、男女13人の名前や住所が書かれ、今年1月に開かれた会議で配られた。
 うち5人は顔写真を載せ「学力が低い」「性的な事への興味・関心が強い」「服装や物の管理がだらしない」などと記されていた。
 学校側は、昨年の会議で「生徒の詳しい状況が分からなければ対応が難しい」と言われたため、今回の資料を作ったという。
 だが、特定の個人を名指しして目を光らせるのでは、見守るのではなく、地域社会から「排除」することにならないか。
 非行防止が目的としても、個人の属性まで安易に第三者に公表していいはずがない。
 文部科学省の「個人情報保護に関するガイドライン」は、非行防止に関係する機関と情報交換が必要な場合、非行の恐れのある生徒の情報を提供できるとする。
 だが、これはあくまで例外規定だ。生徒やその家族の権利、利益を不当に侵害しないことが提供の前提である。
 資料はインターネット上に流出し、大きな問題となった。学校側は「償うことのできない大きな過失だ」と謝罪した。市教委も「外部への情報流出はあってはならない」としている。当然のことだ。
 しかし、問題の本質は情報が流出したことではない。
 こうした資料を作成すること自体、人権侵害と言われても仕方あるまい。
 核家族化などにより、地域とのつながりが希薄になる中、子どもの健全育成には、家庭と学校、地域の連携がますます重要になる。
 問題を抱えた子どもたちを排除するのではなく、サポートするために、関係者はどのように連携すればいいのか。改めて議論を深めていく必要があるだろう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。