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【京都新聞】 G20と保護主義  明確な立場なぜ示せぬ

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 世界経済の課題に対処する先進国と新興国の協調努力を、最大の経済大国・米国が揺るがす。そんな懸念を深めざるを得ない。
 米トランプ政権が初めて参加したドイツでの20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、これまで掲げてきた反保護貿易の立場を明示せずに閉幕した。昨年7月の共同声明にあった「あらゆる形態の保護主義に対抗」との文言はなくなり、「経済への貿易の貢献度を高めるよう取り組む」にトーンダウンした。
 「米国第一」を掲げるトランプ政権は自国の貿易赤字削減を、雇用拡大と並んで最優先に挙げる。ムニューシン財務長官が今回、日本などが警戒した為替問題では従来の表現を踏襲した一方、反保護主義の文言を残すことに強硬に反対し、各国との間に溝をつくる結果になったのは残念である。
 米政権の意向にG20が振り回され、山積する国際課題に取り組む機運を後退させることがあってはならない。
 保護主義、排外主義的な主張は欧州でも台頭している。オランダに続き今春行われるフランスや秋のドイツの国政選挙も左右しかねない情勢だ。広がる経済格差への人々の不満がその背景にある。
 だからこそ各国の指導層には、格差是正の国際的な取り組みの強化に向けて、米国を含めた結束に一層努める必要がある。
 日米欧の先進7カ国(G7)に中国、ロシア、インドなどを加えたG20の財務相会議は、これまでも所管の為替や財政・金融政策だけでなく、地球温暖化やテロへの対策などで協調を図ってきた。2008年以降は首脳会合も重ねてきた。
 今年7月には、その首脳会議が同じドイツで開かれる。5月にはG7の首脳がイタリアに集う。各国が一致して相互連携と反保護主義を強く発信してもらいたい。
 今回の財務相会議では、過去の声明にあった難民支援や温暖化に関する文言も削除された。イスラム圏からの入国制限や温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を打ち出している米国が、水面下で削除を働きかけたことは想像に難くない。
 米国には、自らの主導で戦後の国際秩序を構築してきたことへの責任がある。自国中心の一方的な振る舞いではなく、多国間の対話の枠組みによってこそ、利害の調整や現状の改善はなされるべきだ。日本にはそのことを、各国とともに米国に説く役割がある。

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