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【秋田魁新報】 登山届の提出 リスク認識し習慣化を

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 雪解けが徐々に進み、春山シーズンの到来も近い。山スキーを楽しむ人に加えて登山者がこれから県内でも増えるが、遭難への注意は決して怠れない。春山は雪崩が発生する危険もある。入山する際は行き先を家族に知らせるだけでなく、山行の計画を記した「登山届」の提出を徹底したい。
 登山届は、入山者の氏名や登る山、入山・下山の日時、登山ルートや装備品などを記入するもの。最寄りの警察署に届けたり、登山口などに置かれた受け付け箱に投函(とうかん)したりする。2015年12月からは、県や県警のホームページを通じてインターネットで申請することも可能になった。
 届け出は義務ではないが、遭難した場合、登山ルートなどが分からなければ捜索範囲が絞れず、発見まで時間を要する恐れがある。捜索の遅れは、遭難者の生命に関わる。これまで登山届を出したことがなかったという人も遭難する可能性があることを自覚し、届け出を習慣化するよう努めてもらいたい。
 県警の集計によると、登山届の受理件数は13年212件、14年222件、15年189件だったが、16年は431件と大幅に増えた。ネット申請が可能になったことが要因のようだ。
 それでも、提出する人は登山者全体の一部にとどまるとみられる。秋田駒ケ岳の例を挙げれば、仙北市などは16年6~10月に本県側から登った人は約3万5千人と推計しているが、このうち登山届を出した人はわずか1割の約3900人だったという。
 登山による県内の遭難者は13年11人、14年33人、15年22人、16年34人と推移しているが、大半は登山届を出していなかった。16年の遭難者34人中、提出していたのは2人だけだった。
 今年に入ってからは、県内で2月に遭難が2件発生している。秋田市の50代男性が太平山で遭難して現在も行方不明となっているほか、鳥海山では由利本荘市の40代男性が天候悪化で下山できなくなり、ヘリコプターで救助された。いずれも登山届は出していなかった。
 登山のベテランでも、悪天候に見舞われるなどして遭難するケースが後を絶たない。県警や関係市町村は入山者の安全のため、登山届について一層の周知を図ってほしい。
 また、入山・下山時間や登山ルートなどを記入することは遭難時の救助に役立つだけでなく、登山に計画性を持たせることにつながるはずだ。提出する際は食料や装備などが十分か改めてチェックしたい。
 死者58人、行方不明者5人と戦後最悪の犠牲者を出した14年の御嶽山(おんたけさん)(長野、岐阜県)噴火では登山者の多くが登山届を提出しておらず、安否確認に時間がかかった。火山防災の点からも、県警や関係自治体は登山届提出の重要性について入山者の関心を高めることが求められる。

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