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【茨城新聞】 共謀罪法案 基本的人権と摩擦生む

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政府は共謀罪を取り入れた組織犯罪処罰法改正案を閣議決定し、国会に提出した。成立すれば、2人以上で重大な犯罪を計画したら実行しなくても処罰の対象となり、犯罪の実行で結果が発生して初めて罰するという刑事法の原則を大きく変える。捜査機関は計画段階の犯罪をあぶり出すため社会に監視の網を広げようとするだろう。
通信傍受で電話やメールの内容に目を光らせたり、隠し撮りしたり。屋内に送信機を仕掛け日常会話を拾う会話傍受など新たな捜査手法の導入も警察内で検討課題になっている。プライバシーの領域に立ち入ることなしに「内心」を探ることはできず、憲法が保障する基本的人権との摩擦を生むのは避けられない。
政府は2020年の東京五輪・パラリンピックに向けテロ対策を強化するのに不可欠とする。過去に批判を浴び、法案が3度も廃案になったときの共謀罪と全く違い、構成要件が厳格で一般の人が対象になることはあり得ないとも言う。だが法案の条文から、そうしたことは読み取れない。
適用対象は「組織的犯罪集団」だが、普通の団体なども目的が一変した場合には対象になると政府は答弁。対象犯罪も当初の半分以下に減らしたとはいえ、300近くに及ぶ。拡大解釈や過剰な取り締まりにより国への批判を萎縮させる恐れも指摘され、数々の疑念や不安が解消されない限り、この法案は受け入れられない。
政府は閣議決定した法案から「共謀」の2文字を完全に消した。「内心の自由」を侵すと強い批判を招き、日の目を見なかった共謀罪法案とは異なることを強調するためだ。共謀罪ではなく「テロ等準備罪」という罪名を持ち出し、テロ対策を前面に掲げた。過去の条文にあった「共謀」も「計画」に置き換えた。
さらに犯罪の合意-つまり共謀に加え、下見などの「実行準備行為」がないと処罰できないよう構成要件を厳格化したとする。ところが先に与党に示した原案にはテロ等準備罪も含め「テロ」の表記は一切なく、テロ対策としてきた政府説明との整合性を問われた。
このため「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」と適用対象でテロに言及した。しかし、いくら字面をいじっても、共謀を罰するという本質は変わらない。しかも組織的犯罪集団は「重大な犯罪を実行するために結合する団体」と定義されるが、常習性や反復継続性などの要件はなく、市民団体や会社も対象になるとの懸念は根強い。
また犯罪の計画について現実的、かつ具体的でなければならないと政府は繰り返し説明しているものの、条文にそのような記述はない。下見のほか資金や凶器の用意などが例示される準備行為にしても、あいまいだ。
そもそも、なぜ、この法案が必要なのか。政府は「テロの未然防止」を強調。テロの実行に着手する前に一網打尽にしたいが、航空機乗っ取りなどの事例をいくつか挙げて「現行法では的確に対処できない」とする。
野党が有力な学説を引き「ハイジャック防止法の予備罪を適用できる」と指摘しても「予備罪に当たらないこともある」と繰り返すばかりだ。具体的に現行法のどこに不備があるのか説明しない。どこまでいっても、この法案にはあいまいさと危うさがつきまとう。

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