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【産経新聞】 衆院新区割り 「土台」の議論に踏み込め

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 政府の衆院選挙区画定審議会が、小選挙区の定数を「0増6減」し、「一票の格差」を1・999倍に抑える新区割り案を勧告した。
 これ自体は、与野党が成案を得られずに、衆院議長の諮問機関が出した答申に沿った内容で、すでに議論の余地は少ないはずである。
 19都道府県、97選挙区で線引きが変更されることを考えれば、勧告を受けた公職選挙法改正案を早急に成立させ、新区割りの周知を図らねばなるまい。
 それにしてもである。司法から格差をめぐる警告を受け、そのつど現行制度を前提に定数のつじつま合わせを行う。しかも、格差が生じる根本的な構造には手を付けない。いつまで同じことを繰り返すのか、改めて考えてほしい。
 もとより、簡単に答えを出せる問題でないことはたしかだ。
 投票価値の平等をどれだけ実現できるか。「2倍程度であればよい」というような、明確な理屈があるわけでもない。
 一方、人口減少と都市部への人口集中は止まらない。そうした中で、まず都道府県単位で分け、それをさらに分割して選挙区を置くやり方は、格差拡大の影響をもろに受けやすい。
 むろん、人口基準のみで線引きの見直しを続ければ、地域社会の分断や崩壊を招きかねないことも考慮しなければならない。
 難問が多ければ多いほど、国会はそれを避けず、あるべき議会制民主主義を見据え、それにふさわしい選挙制度づくりとは何かを真摯(しんし)に議論してほしい。
 現行憲法は、国会議員を「全国民の代表」と位置付けている。選出地域の課題のみならず、外交安全保障や経済まで、日本や国際社会を考えて仕事をしてもらう必要がある。それは、憲法に書かれるまでもないことだろう。
 それに値する人物をどのように選んだらよいか。これまでの議論は、その視点を欠いていないか。同時に、選挙制度は民意を集約し、政権を構築する勢力を選択する方策でもある。
 参院側では「合区」の解消をめざす観点から、憲法を改正して参院は地方代表であると明確化する意見がある。その場合、衆院はどう位置付けるのか。
 自己都合だけで、国のかたちにつながる選挙制度を論じていても答えは見つかるまい。

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