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【産経新聞】 正男氏裁判延期 すべての証拠を開示せよ

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 ティラーソン米国務長官は、北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定することを検討中だと明らかにした。米下院はすでに再指定を求める超党派の法案を可決している。
 再指定の検討は、金正恩・朝鮮労働党委員長の兄、金正男氏がマレーシアで殺害された事件を受けて始まった。
 一方でマレーシアでは、事件の裁判手続きが滞り、延期されている。延期の理由は検察側の書類不備によるもので、殺人罪で起訴された女2人の弁護側が証拠物の提示を求めたのに対し、検察側がこれを拒否しているのだという。
 独裁者の兄が他国で毒殺されたという特異な事件を、米国をはじめとする国際社会が公正に検証できるよう、すべての証拠は公判廷で開示されることが望ましい。
 ベトナム国籍とインドネシア国籍の女が殺人の実行犯として起訴されているが、マレーシア政府はすでに正男氏の遺体を北朝鮮に引き渡し、北朝鮮国籍の容疑者らも帰国させた。このままでは実行犯2人の責任のみ問われ、事件の真相が闇に葬られかねない。
 北朝鮮は、殺人の被害者を北朝鮮の旅券を所持する「キム・チョル氏」であるとし、正男氏であることすら認めていない。
 検察はまず、被害者の身元を正男氏であると断定した根拠を明示すべきだ。
 マレーシアのザヒド副首相兼内相は、正男氏の子供から採取したDNA型と照合したと明らかにしている。子供とは誰なのか。採取や提供の方法についても、北朝鮮の反論を許さぬよう、具体的に開示されなくてはならない。
 殺害に使用したとされる神経剤VXについても、詳細な成分分析の結果の公表を急いでほしい。
 分析にはオランダ・ハーグの化学兵器禁止機関(OPCW)が技術的な捜査協力を行ったとされる。そうした国際機関による科学的データの開示が必要だ。
 韓国国防省は、北朝鮮がサリンやVXなど2500~5000トン余の化学兵器を貯蔵すると推定している。正男氏の殺害事件を通じて北朝鮮における化学兵器の実相に迫ることも求められる。
 北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐり東アジアの緊張が極度に高まっている今、事件の幕引きや裁判の遅滞は許されない。金正恩政権の特異性を、この事件が象徴しているからでもある。

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