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【読売新聞】 米抜きTPP 日本主導で自由貿易体制守れ

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 危機に瀕(ひん)した環太平洋経済連携協定(TPP)発効に向け、日本政府が大きく舵(かじ)を切る。
 米国を除く11か国での発効を目指す方針を決めた。5月にベトナムで開かれるTPP閣僚会合で、日本側の考えを表明する見通しだ。
 アジア太平洋の12か国が2016年2月に署名したTPPは、米国の離脱で発効条件を満たせず、暗礁に乗り上げている。
 日本は米国の説得を続けたが、早期復帰は困難と判断し、新たな枠組みを探る方針に転換した。
 日本が主導して自由貿易圏を広げ、保護主義に走るトランプ米政権を多国間の貿易秩序に引き戻すことが重要である。
 米国は多国間協議に代えて、相手国への圧力を強めやすい2国間交渉を優先する姿勢を鮮明にしている。日本が米国抜きのTPPを推進するのは、こうした思惑を牽制(けんせい)する意味があろう。
 TPPは複雑な利害調整を経て、参加国が最大限の恩恵を得るよう組み立てられた。ニューヨークで講演した麻生副総理が、日本のメリットを「2国間協議ではTPPほどのレベルに行かない」と述べたのはもっともだ。
 米国抜きのTPPは、日本などへの農産品輸出の拡大を見込む豪州やニュージーランドが推す一方で、対米輸出を主眼とするベトナムやマレーシアは慎重だ。
 発効条件の変更で11か国が一致しても、個別テーマの再交渉まで必要かどうか、各国の意見が対立する可能性もある。高いレベルの貿易・投資ルールを極力維持する努力が求められる。
 現協定の批准手続きを終えた日本は、新たな協定に関する国会承認を取り直す必要もある。
 今後のTPPのあり方について政府は、経済界や農林漁業者を含め国民に丁寧に説明すべきだ。
 政府は、米国抜きのTPP、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、日米経済対話、欧州との経済連携協定(EPA)を通商政策の4本柱に据える。
 アジア太平洋から米国、欧州までの間で自由貿易を深化させ、保護主義の台頭を抑えようという狙いは理解できる。
 RCEPは中国主導で諸規制が緩くなりがちだ。日欧EPAは欧州の政治環境が流動的なため、目標とする年内の大筋合意は予断を許さない。政府は総合的な通商戦略を構築せねばならない。
 米国には日米経済対話で、新たなTPPへの合流に向けた働きかけを続けることが大切だ。

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