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【信濃毎日新聞】 衆院区割り案 問題解決にはならない

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 何とか体裁を整えたといったところか。
 衆院選挙区画定審議会が、「1票の格差」を是正する区割り改定案を安倍晋三首相に勧告した。9都道府県の97選挙区で区割りを変更し、2020年の見込み人口に基づく最大格差を2倍未満に収めている。
 審議会は、自治体間のつながりや生活圏も考慮しながら作業してきた。問題は、今回も一時しのぎの是正にとどめた自民党をはじめ、選挙制度改革を先送りしてきた各党の姿勢にある。
 地方から都市への人口流出が続いている。いずれまた、格差は2倍を超えるだろう。その都度、同じ市区町村で選挙区を分割するような調整を繰り返すのか。
 1票の格差だけが焦点ではない。衆院の役割を十分に果たし得る改革に向け、選挙制度全体を見渡した議論を進めるべきだ。
 格差が2倍以上だった09年、12年、14年の衆院選に対する最高裁の判決は「違憲状態」だった。衆院議長から選挙制度改革を諮問された有識者の調査会は、「アダムズ方式」の採用を答申した。
 都道府県の人口に比例して定数を配分する方式で、格差を縮めつつ、人口の少ない県の定数が極端に減らないよう工夫されている。公明党や野党は早期導入に前向きだったが、自民党は反対した。党内調整を嫌ったのだろう。結局、今回の改定案には反映されず、20年の国勢調査に基づいて取り入れることになっている。
 ただ、アダムズ方式に移行しても、地方選出の議員が相対的に少なくなることに変わりはない。山間地の住民の声は国政に届くのか、政治との距離感が遠のくことにならないか、心配だ。
 小選挙区は格差是正に不向きとの指摘がある。1994年の小選挙区制成立時は、二大政党制の定着が期待されたものの、現状は1強多弱となっている。得票率と議席占有率に大きな開きがあることも放置できない。
 選挙運動のあり方、比例代表の仕組みなどに改善の余地はないのか。1票の格差是正は、あくまで改革の一端にすぎない。
 参院の選挙制度改革も格差解消に偏っている。両院が担う役割や権限を根本から問い直し、適切な議員の選出方法や定数配分の仕方を煮詰めてはどうか。衆参の改革を一体的に議論してもいい。
 今回の区割り改定案に、長野県の選挙区は含まれていない。人口の移動によっては今後、対象になり得る。自らの問題として制度のの行方を見据えたい。 (4月21日)

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