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【沖縄タイムス】 [高齢者の無縁仏]個を支える制度設計を

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 県内41市町村が火葬・埋葬した65歳以上高齢者の死者数が2012年度からの5年間で161人おり、このうち親族が引き取りを拒否し「無縁仏」となったケースは9割超の149人に上ることが、沖縄タイムスの自治体アンケートで分かった。
 64歳以下を含めた県内すべての市町村火葬数は過去5年間で247件。高齢者の無縁仏はそのうち6割超を占めており、アンケートの数字からは現代に生きる高齢者の孤立が顕著に見える。
 親族が見つからなかったか、親族がいないケースは残り1割に満たない。無縁仏となった圧倒的多数の高齢者には家族や親族がおり、「天涯孤独」ではなかったことがうかがえる。
 親族が引き取りを拒否した理由は「生活保護の受給などで親族に迷惑を掛けて絶縁状態になった」など生前の生活困窮を原因にした事例が多い。一方で、離婚後に1人暮らしをしていた元会社役員や、親の介護を巡るきょうだい間のトラブルもあった。
 拒否の理由から分かるのは、経済的事情や人間関係のこじれによって生じる老後の孤立だ。そこには、関わりが密な家族だからこそ、いったんこじれると深い断絶を抱えるという図式がかいま見える。
 NHKが全国1783自治体を調査した結果、引き取り手がなく、自治体によって火葬・埋葬された人は2008年に3万2千人だった。そのうち明らかな身元不明人は3%に当たる千人。家族や親族がいながら無縁仏となる実態は、全国も同様だ。
 
 高齢者の無縁仏の7割超が男性という結果は、夫と妻と子という「家族」を単位とした社会制度のもろさを露呈している。
 無縁仏となった高齢男性の結婚適齢期に当たる30年前まで、男性の「生涯未婚率」は女性を下回る5%未満だった。しかし近年の熟年離婚の増加が示す通り、長い人生において、結婚は必ずしも孤立回避の担保とはなっていない。
 加えて超高齢社会は、たとえ結婚生活が円満でも、配偶者に先立たれて1人暮らしになる可能性も増大させた。
 最新の国勢調査(2015年)で生涯未婚率は、男性23%、女性14%まで増えていることを見れば、高齢者の無縁仏は今後さらに増加が予想される。
 一方で、税金や年金、介護や医療・福祉など高齢期を支える社会制度は、家族や親族の存在を前提として設計されている。その結果、老後の生活困窮や孤独死が後を絶たない。
 
 社会制度のミスマッチは、無縁仏の引き取り手となる自治体の負担増にもつながっている。自治体の多くは一定期間遺骨を保管しその後合葬するが、近年では、遺骨の引き取り手がいないことで無縁墓に入り切らなくなるケースも出てきた。
 家族のあり方が大きく変わっている。人生の最期に安心を担保するため、社会制度の形もそれに合わせて根本から変える必要がある。

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