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【京都新聞】 英の解散総選挙  民意固める機会になる

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 英国のメイ首相が突然、議会下院を解散する方針を示した。下院は解散を決め、6月8日に総選挙を行うことになった。
 これまで解散を否定し続けてきたメイ首相が総選挙に踏み切ったのは、近く本格的な交渉が始まる欧州連合(EU)からの離脱に関して自らの足場を固めたい意図がある。人、モノ、サービス、資本の「移動の自由」を原則とするEUの単一市場からの強硬離脱を辞さない自らの方針に野党の労働党などに反対があるためだ。
 メイ首相はキャメロン前首相の辞任を受け昨年7月に就任した。今回が首相として初めての総選挙になる。就任直前に行われたEU離脱の是非を問う国民投票では、離脱が52%、残留が48%で僅差の決定だった。
 折々の政治的、経済的な国の決定に最新の民意が反映されることは当然だ。特に、英国はEUとは通貨こそ統一していないものの、経済的には欧州各国は最大の貿易相手であり、国民の理解は欠かせない。国民に信を問い直す際には各政党はいま一度、主張や政策を整理してもらいたい。
 英国に進出したわが国の企業や大手金融機関にも影響が大きい。拠点を他のEU諸国に移す動きもあり、この点でも柔軟な着地が望まれる。
 首相の与党である保守党は下院(定数650)で半分強の議席にとどまる。しかし、最近の世論調査では野党第1党の労働党はコービン党首の不人気によって支持率が低迷し、その差は20ポイントに広がっている。
 経済的には英国はいま堅調な状態にある。与党内には「今なら勝てる」と議席上積みへの期待もあるとされる。
 対する野党はメイ首相の総選挙という「奇策」に動揺が隠せない。労働党はEU離脱の方針について一枚岩とは言い難い状況で、離脱方針だけが争点になることを回避する考えだという。スコットランド独立とEU加盟を目指して2度目の住民投票を英政府に求めるスコットランド民族党はメイ首相に全面対決する姿勢を鮮明にしている。
 EUからの離脱について、これまではメイ首相の硬直した交渉姿勢が目立った。円滑にEU離脱交渉をまとめるためにも、選挙戦を通じて、多様な民意を固めることが重要になる。
 さらに離脱後の和解の姿をどう描き、どう解決に導くのか。メイ首相に求められることは、まだまだ多い。

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