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【毎日新聞】 天皇退位の有識者会議報告 経緯踏まえた法案作りを

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 政府の有識者会議が天皇退位後の制度設計などに関する最終報告をまとめ、安倍晋三首相に提出した。これをもとに政府は今の陛下の退位に向けた法案作りを進める。
 報告は3月の衆参両院の正副議長による国会見解の内容を明記した。皇室典範の特例法による退位を前提として陛下の退位後の称号など法案に盛り込む内容を提言した。
 天皇退位は歴史上58例あるが、明治の旧皇室典範や今の皇室典範に退位の規定はない。実現すれば約200年ぶりとなる。
 報告では退位後の称号を上皇(じょうこう)とした。太上(だいじょう)天皇や前(さきの)天皇などの案もあったが、天皇と付く称号を排し、公的行為もすべて新天皇に譲るのが適切とした。象徴の二重性を回避する観点から妥当だといえよう。
 制度設計だけではなく、皇族の減少に対する議論も促した。秋篠宮(あきしののみや)さまの長男悠仁(ひさひと)さまと同世代の皇族が将来一人もいなくなることも予想されると強い懸念を示した。
 戦後の宮家皇籍離脱以降、皇族が最も多かったのが、1994年に佳子(かこ)さまが生まれて25人になったときだ。現在は18人まで減り、このうち未婚の皇族女子は7人いる。
 皇室典範は、皇族女子が結婚した場合は皇族から離れると定める。天皇家を除き、宮家がいずれなくなってしまうのではないかということへの警鐘であり、意味ある提言だ。
 ただし、経緯を振り返ると有識者会議の位置付けは揺れた。陛下一代限りの特例法という結論が先行する形で始まり、途中からは正副議長協議が立法形式を決める場となった。
 国会見解がまとまると、厳粛に受け止めると安倍首相が表明したことを踏まえ、残された課題を議論した。退位を包括的に検討し結論を得るという当初の位置付けは薄れた。
 首相官邸の影響も報告には色濃く残った。国会見解で言及された「女性宮家の創設」には触れていない。首相官邸は女性・女系天皇の布石になるとみて否定的とされる。
 報告よりも先に政府の特例法案の骨子案や付帯決議案が作られ、報じられたのも筋が通らない。しかも国会見解に比べ陛下一代の退位を強調する表現になっているという。
 順序も内容もこれまでの流れを軽んじた政府の対応には問題がある。

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