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【中国新聞】 加計学園問題 忖度の構図、徹底解明を

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 岡山理科大を運営する学校法人「加計学園」(岡山市)が愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画を巡り、文部科学省と内閣府のやりとりとみられる記録文書を民進党が入手した。「官邸の最高レベルが言っていること」「総理の意向だ」といった生々しいくだりが見える。
 加計学園の理事長は、安倍晋三首相の友人という。これまで首相は国会で「相談があったことや圧力をかけたことは一切ない」と関与を否定してきた。仮に文書の記載通りだとすれば、つじつまが合わない。
 文書が本物かどうか、省内のどのレベルにわたっていた物かなど、文科省は事実の確認を急ぐ必要がある。
 一連の文書は出どころや信用性が必ずしも明らかではない。作成の年月日は特定されておらず、回覧や決済の押印欄が見当たらない。菅義偉官房長官も「こんな意味不明のものについて、いちいち政府が答えることはない」と取り合おうとしなかった。それでいいのだろうか。
 行政文書の管理に関する国のガイドラインでは、国政上の重要事項に係る意思決定が絡む場合には、起案の下書きメモでも適切に保存すべきだと定めている。今回、それに当てはまる可能性がある。
 何より、獣医学部新設を目指した今治市が政府の国家戦略特区に指定されるまでの曲折と、文書の内容は妙に符合する。
 今治市は2007年以降計15回も、構造改革特区への指定を申請したものの、却下され続けた。それが第2次安倍内閣の国家戦略特区制度で風向きが一変する。政府の国家戦略特区諮問会議が昨年11月、獣医学部のない空白地域に限っての新設を今治で認め、加計学園が運営事業者に認定される。
 文書に「2018年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい。これは官邸の最高レベルが言っている」「『国家戦略特区諮問会議決定』という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか」との記載がある。
 一方、日本獣医師会は、特区提案による獣医学部の新設に強く反対してきた。以前、公にした書面にこんな一節がある。
 「特区」に名を借りた「地域おこし」や特定の一学校法人による「大学ビジネス拡大の手段(場)」と化すようなことがあってはならないと考えます—。
 全国に16ある獣医学系大学の定員は国公立大で30〜40人、私立大で80〜120人という。ところが今回、岡山理大だけで160人の定員枠を見込む。
 国はこの半世紀、獣医師の「質」を確保する観点から、大学設置や定員増は厳しく制限してきたいきさつがある。
 長年のルールや現場の声をないがしろにし、首相主導で推し進めた節は今回の文書がなくても見て取れる。学校法人「森友学園」(大阪市)の問題でも、国有地を格安で学園側に譲り渡した財務省の忖度(そんたく)が取り沙汰された。「同じ構図」と野党がいぶかるのも無理はない。
 計画は今、国の審議会で設置認可の審査が進む。36億円相当のキャンパス用地を地元今治市が無償譲渡した上で、愛媛県と共に最大96億円を助成する。公正で厳密な審査のためにも、疑惑の徹底解明が求められる。

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