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【朝日新聞】 関電の原発 再稼働に展望あるか

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 福井県の関西電力高浜原発4号機が再稼働した。関電の原発が動くのは16年3月以来で、3号機も来月上旬に続く予定だ。
 2基の運転を禁じた大津地裁の仮処分は大阪高裁が取り消した。大飯原発3、4号機も原子力規制委員会の審査が事実上終わっており、関電は今年秋の再稼働を目指している。
 ただ、事故時の住民の安全確保や使用済み核燃料の処分といった、根本的な問題は何ら解決されていない。なし崩しの再稼働に改めて反対を表明する。
 高浜原発の30キロ圏には約18万人が暮らす。関係自治体と国は事故の発生に備えた広域避難計画をまとめている。
 しかし昨夏の避難訓練では、悪天候時にヘリや船が使えず、一部地域が孤立する恐れが浮かんだ。いざとなれば避難者の車が殺到し、渋滞で逃げ遅れるのではとの懸念も根強い。
 朝日新聞の調べでは、高浜周辺の住民が身を寄せる避難所のうち126カ所が、土砂災害などの警戒・危険区域にあった。
 福井県には廃炉が決まったものも含めて15基の原子炉が集中する。複数の原発で同時に事故が起きたらどうするのか。対策はほとんど手つかずだ。
 使用済み核燃料をめぐる難題も方向性が見えない。
 原発敷地内の貯蔵プールは満杯が迫る。関電は、電力消費地の関西への立地を念頭に、「20年ごろに中間貯蔵施設の場所を決める」と福井県に約束した。しかし関西側の警戒感は強く、いっこうにめどは立たない。
 高浜原発では、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を用いたプルサーマル発電が実施される。使用済みになったMOX燃料は青森県六ケ所村に建設中の再処理工場でも扱えないため、当面はプールに保管し続けるしかない。
 関電は、運転開始から40年を超す3基を含め、現有する9基の原発を使い続ける姿勢を変えないが、重大な課題の解決を先送りにしたままの再稼働は無責任だ。
 福島第一原発事故から6年。節電の定着や電力自由化の影響で電力需給は安定してきた。関電は原発が動けば収支が改善し、電気料金も値下げできるとするが、そうした経営面のメリットを除けば、再稼働を急ぐ理由は乏しくなってきている。
 大株主の大阪市と京都市は今年も「脱原発依存」を求める議案を6月の株主総会に出す。消費地の視線は依然厳しい。
 原発頼みの経営構造でどこまで展望はあるのか。関電は脱却の道筋を真剣に考えるべきだ。

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