Home > 社説 > 全国紙 > 朝日新聞 > 【朝日新聞】 日韓関係 首脳交流の早期復活を
E015-ASAHI

【朝日新聞】 日韓関係 首脳交流の早期復活を

1 点2 点3 点4 点5 点   (2 投票, 平均点: 2.50点)
Loading...

 意見の違いはあれど、互いに前向きな関係を築いていきたい。その明確な意思は確認できたといえるだろう。
 韓国の文在寅(ムンジェイン)政権が発足して1週間あまり。文大統領の特使らが来日し、安倍首相や岸田外相らと会談した。
 特使は首相に、日韓首脳が両国を相互訪問するシャトル外交の再開を求める文大統領からの親書を手渡した。首相も再開に前向きな姿勢をみせたという。
 シャトル外交は2004年、小泉純一郎、盧武鉉(ノムヒョン)の両首脳(当時)によって始まった。
 靖国神社参拝を含む歴史問題や竹島問題など両国間には様々な懸案がある。世論が過敏に反応し、政治の選択肢の幅を狭めることもしばしばだ。そんな関係だからこそ、両首脳が気兼ねなく定期的に会おうという賢明な試みだった。
 いまも脆弱(ぜいじゃく)さが残る日韓の絆を強めるうえで、シャトル外交の復活は効果的だろう。韓国で新政権が発足したのを機に、早期の再開を目指すべきだ。
 その際、双方が気をつけなければならないことがある。
 シャトル外交は、諸懸案を乗り越えるための枠組みだったはずが、実際は振り回され、先送りや中断を繰り返した。両国は政治的な問題を経済、文化など他分野と切り離し、たとえ関係がこじれても、対話の窓は閉ざさないと肝に銘じるべきだ。
 シャトル外交は6年前、当時の李明博(イミョンバク)大統領の訪日を最後に止まっている。この時は、慰安婦問題をめぐって決裂した。
 文氏は、大統領選の公約の一つとして慰安婦問題をめぐる日韓合意の再交渉を掲げたが、今回来日した特使はそれを求めなかった。ただ、韓国国内に情緒的に受け入れがたい雰囲気が強いことを説明した。
 日本国内には、元慰安婦を支援する財団に政府予算を拠出したのだから、義務は終えたという意見がある。一方、韓国にもソウルの日本大使館前などにある少女像は民間団体が設置したため政府は関与できない、といった指摘がある。
 いずれも「日韓両政府の協力」がうたわれた合意の精神に反する主張だ。今後も互いの立場をふまえた十分な配慮と行動を重ね、国民的な合意に育てていく以外に道はない。
 安倍首相は特使に「日韓合意を含む二国間関係を適切にマネージしていく」と語った。
 ナショナリズムをあおる動きを抑え、隣国との友好の価値を積極的に国民に説く。日韓のリーダーには、そんな思慮に富む外交姿勢が求められている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。