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【京都新聞】 新大学入試案   公平性への疑問拭えぬ

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 大学入試センター試験に代わる新テストの実施方針案を、文部科学省が公表した。英語の試験は行わず、英検やTOEICなどの民間検定試験を活用する。国語と数学は今のマークシート式に記述式問題を加える。この二つが柱だ。
 2020年度開始という目標を変えない以上、残された準備期間は短い。50万人の受験生に信頼される安定的な制度が求められるが、道はなお多難と言わざるを得ない。
 最も疑問なのは、受験機会や評価の公平性を担保できるかだ。
 とりわけ英語の変更は大きい。高校3年の4~12月の間に文科省認定の民間試験を受験し、その点数と国際標準規格に基づく段階別評価を大学側に提出する。候補に挙がる10種類の民間試験には、1回3千円台で受けられるものもあれば2万5千円かかるものもある。年間実施回数と試験会場数にも違いがあり、実施回数は最少で2回、最多で40~45回、会場数は12~1万7千カ所と差がある。
 これでは都市部や裕福な家庭の受験生ほど多様な試験を選べ、地理的・経済的な条件によって格差が生じることになりはしないか。
 文科省は受験回数を2回限りとし、低所得世帯の検定料減免などを民間試験団体に求めるという。だが、高3になる前からの「試し受験」に歯止めはなく、その結果、有利不利が生じる懸念は拭えない。
 たしかに、今のマークシート式では語学力の「読む・聞く・話す・書く」の4技能のうち「話す・書く」は測れない。改革の意義は理解できるものの、教科書より検定対策を重視する授業が広がらないか。そもそも学習指導要領に準拠していない民間試験が、今後、要領と十分に整合する内容になるかどうかも疑問だ。
 国語と数学の記述式にも課題が残る。文科省は今回、採点作業を民間に全面委託する方針を示したが、機械でなく人による採点のぶれをなくす方法はなお不透明だ。
 13年の政府の教育再生実行会議の提言で始まった入試改革の議論は、教育現場から反発や疑問が続出し、実施方針案をまとめるまでに3年半を要した。「知識偏重から思考力重視へ」の看板の一方で、当初あった「教科の枠を超えた合教科型、総合型の出題」などの案は先送りとなった。
 約30年ぶりの大学入試改革が、21世紀にふさわしい教育の実現へとつながるのか。文科省は教育現場の声により耳を傾け、課題を一つ一つクリアする必要がある。

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