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【陸奥新報】 高校再編地区懇談会「住民の意見に耳傾けて」

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 県教育委員会が公表した県立高校再編に関する第1期実施計画案(2018~22年度)について説明、意見交換する地区懇談会が8日以降、県内各地で開かれている。同日の青森市を皮切りに、9日には黒石市、さらに県南地方などを経て17日には五所川原市金木町で開催された。北五地方では、22日以降さらに3地区で開催予定となっている。成案は同懇談会やパブリックコメントを踏まえて7月に策定予定だ。
 実施計画案が示した内容は、西北五地区では金木、板柳、鶴田、五所川原工業4校を募集停止の上、五所川原工業の校舎に新設校を設置。このほか、中里と木造深浦校舎を地域校として存続させるというもの。中南地区では、黒石と黒石商業両校を統合した上で黒石商3学級のうち2学級を弘前実業に移す。弘前実業の農業経営科は柏木農業に集約し、弘前工業定時制は募集停止、閉課程となる。
 各地の懇談会では、予想通り地域住民からの不満が噴出した。9日に開かれた黒石市では「(計画は)弘前を中心に考え、黒石だけやり玉に挙げている」「弘前の中学校卒業生は全員が(進学は)市内で済むが、黒石の場合は半数以上が動かないといけない。これが平等なのか」といった意見。17日の五所川原市金木町では「高校をなくすることは地域にとって痛手」「生まれた地による、教育差別の推進計画としか思えない」といった声が相次いだ。
 当然とも言える声だ。生まれた地域によって、進学の選択肢が狭められることは好ましくはないし、遠距離の通学を強いられることは保護者の負担増にもつながる。ただ、県教委側による、部活動や教育科目の面で一定の教育規模を維持する必要があること、統廃合対象の高校で志望倍率が減少傾向にある、といった説明も理解できる。生徒数が少ないまま、あるいは減少するまま高校を維持した場合、本来あるべき生徒間の切磋琢磨(せっさたくま)ができない、部活動が成り立たないなどの事態が考えられるからだ。
 地区懇談会は今後、弘前市で開かれる30日で終了するが、単に「地域の意見を聞いた」という事実を作っただけの場にしてはいけない。現在高校が存在する地区では、学校と共に地域が歩んできた歴史、子どもたちを進学させてきた保護者の思いなど、数時間程度の懇談会では語り切れないことが多数ある。100%住民の願いをかなえることは困難としても、耳を傾け、ある程度納得が得られるものにするため、検討していく必要はあろう。
 高校の統廃合は今に始まったことではなく、そのたびに過去多くの地域で同じようなやりとりが繰り返されてきた。そうした経緯を踏まえ、今後県教委側がどのように成案を作っていくのか注目したい。

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