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【西日本新聞】 大学共通テスト 「改革の原点」を見失うな

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 何のために新テストを導入するのか。素朴な疑問を禁じ得ない。
 文部科学省が大学入試センター試験の後継として2020年度から始める「大学入学共通テスト」の実施方針案を公表した。
 英語は英検など民間の検定試験に移行する。国語と数学の一部に記述式問題を導入し、採点には民間業者を活用するという。
 民間業者の手まで借りて共通テストを肥大化させ、コストも増やす必要が本当にあるのか。検定試験に合わせて英語の授業がゆがむ恐れはないのだろうか。
 80~120字前後の記述式問題が3問加わる程度で思考力や表現力を評価できるのか。教育現場から疑問の声が上がるのも当然だ。
 知識偏重のセンター試験で1点の差が合否を分ける一発勝負-。そんな硬直化した入試制度では多様な力が求められるグローバル時代に対応できない。この危機感こそ「改革の原点」だったはずだ。
 教育再生実行会議が13年に提言を出し、議論の口火を切った。
 共通試験は年に複数回実施し、成績は学習到達度を示す大まかな段階別表示にとどめる。各大学が創意工夫して、多面的・総合的な評価で合否を判定する。そんな提言の方向性は、中央教育審議会も大筋で踏襲した。
 ところが、今回の実施方針案は記述式問題と英語の成績こそ段階別表示だが、大半は1点刻みで採点されるマークシート方式である。木に竹を接ぐような不自然な格好だと言わざるを得ない。
 そもそも共通テストを従来通り合否に直結する試験とするのか。それとも、学習到達度の目安を示す試験として大学に個別選抜の充実を促すのか。その根本的な姿勢が曖昧である。20年度からの即時移行と23年度まで現行のテストと併用する2案を提示した点にも文科省の「迷い」がうかがえる。
 1979年に共通1次試験が始まって約40年になる。名称も内容も幾多の変遷を重ねてきた。全国一斉の大学入試システムが時代や社会の要請に即しているのか、改めて検討すべきである。

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