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【西日本新聞】 皇室の将来像 「退位法」で終わらせずに

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 秋篠宮家の長女眞子さまが婚約されるという。天皇陛下にとって眞子さまは初孫である。皇室の慶事をお祝いしたい。
 折しも天皇陛下の退位に向けた特例法案があす閣議決定される。法案は女性宮家の創設など安定した皇室制度の在り方には触れていない。眞子さまがご結婚で皇籍を離脱されることを踏まえ、改めて皇室や皇位継承制度を巡る国民的な論議を深めていきたい。
 法案の名称は「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」である。政府の有識者会議の最終報告と各党派の意見を集約した国会の見解を土台に作られた。
 第1条(趣旨)で、皇位継承を規定した皇室典範4条の特例として天皇陛下の退位と新天皇の即位を「実現する」とうたった。
 野党側が求めていた恒久制度ではなく、一代限りとする内容だ。他方で皇室典範に特例法は典範と一体であると盛り込み、退位が先例となることを強調した。世論の動向も踏まえて幅広い政党間の合意を目指す「政治の知恵」による折衷案といえるだろう。
 安倍晋三首相が一代限りにこだわったのは、皇位継承を男系男子に限った皇室典範を重んじ、女性・女系天皇の容認論議を避けるためだとされる。一方、民進党は野田佳彦幹事長が首相時代に女性宮家の創設を検討した経緯がある。将来を見据えた皇室の存続や安定的な皇位継承に向けて、女性・女系天皇を含めて論議していく必要があるだろう。
 特例法が成立すれば、天皇退位を巡る論議は一定の結論を得る。ただ「象徴天皇とは何か」という根本的な国民的論議は今後も継続していくべきだ。例えば天皇の国事行為は憲法に規定があるものの、陛下が模索してこられた被災地訪問など「国民統合の象徴」としての行為に定めはない。
 憲法は天皇の地位が「主権の存する日本国民の総意」に基づくとしている。国民主権を定めた憲法下で象徴天皇とはどうあるべきなのか。私たち国民一人一人が問われているテーマだと捉えたい。

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