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【日経新聞】 台湾は改革推進で中国の風圧しのげるか

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 台湾の蔡英文総統が就任して1年がたった。社会的少数派への目配りや「脱原発」などリベラルな改革を打ち出す一方、外交・安全保障の面では現実主義的な構えで中国との間合いをはかり緊張の高まりを防いできたといえる。
 ただ、中国の圧力もあって経済は停滞感を払拭できていない。この1年で政権への支持率は大きく下がった。残る3年の任期中に改革をどこまで軌道に乗せ、経済を立て直せるかが問われる。
 内政ではリベラルな路線が鮮明だ。蔡総統は昨年夏、先住民が不公平な待遇を受けてきたとして、歴代の総統のなかで初めて正式に謝罪した。同性婚を法的に認める民法改正案を立法院(国会に相当)に提出し、原子力発電所の運転を2025年までにすべて停止するための法改正を実現した。
 アジアでは異例なほどにリベラルな政策で、強権的な中国とは対照的な存在感を世界に発信する戦略と評価できよう。
 外交・安保では現実主義的な姿勢が目につく。緊張が高まらないよう中国の圧力に過敏に反応することを控える一方で、防衛力の充実をすすめていく方針だ。
 蔡総統に「一つの中国」の考え方を受け入れるよう求めている中国は、経済、外交、軍事といったさまざまな角度から圧力を強めている。対して蔡総統は「一つの中国」を受け入れない考えを繰り返し表明しており、中台関係はかなり冷却化した。
 世界保健機関(WHO)のような国際的な枠組みから台湾を排除しようとする中国の取り組みは、グローバルな課題への対処にマイナスだ。軍事的な圧力は台湾の有権者の中国への反発を強めるだけでなく、東アジアに緊張をもたらしかねない。より柔軟な台湾政策を、習近平国家主席は模索する必要があるのではないか。
 台湾の外交・安保では米国がカギを握る。トランプ米大統領はこのところ、就任前とは打って変わって対中融和姿勢を鮮明にしている。蔡総統は米国から先進的な武器・装備を購入したい意向だが、トランプ政権が中国に過度に肩入れすれば困難の度は増す。
 蔡総統にとって幸いなのは、政権への支持率は下がっているのに最大野党の国民党が党勢を回復できていないことだ。中間選挙にあたる来年の統一地方選までに、改革の実行と経済の立て直しに一定の成果をあげたいところだ。

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