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【茨城新聞】 共謀罪法案採決 拙速な成立を許すな

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自民、公明両党が、衆院法務委員会で、野党の反対を押し切って「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の採決を強行、可決させた。今国会での成立を目指し、23日の衆院本会議でも採決を強行し、衆院通過を図る。
審議の場は参院に移ることになるが、犯罪の実行後ではなく、計画段階で処罰する改正案を巡っては、捜査当局が、動向を監視する対象が飛躍的に広がり、国民の思想、信条の自由が侵されかねないなどの懸念が解消されていない。
情報公開制度が形骸化し、防衛、外交などの分野で、国民の知る権利を制限する特定秘密保護法も運用される中、このまま改正がなされれば国家による一方的な監視社会が始まることになる。拙速な成立は許されない。
捜査当局による監視のための手段はすでに存在し、強化もされている。電話やメールを傍受する権限を捜査当局に与える通信傍受法だ。昨年、改正され、薬物や銃器、集団密航、組織的殺人の4類型だった対象犯罪に組織性が疑われる詐欺や窃盗など9類型が追加された。さらに傍受への通信事業者ら第三者の立ち会いも必要がなくなり、捜査当局にとって格段に使い勝手が良くなっている。一方、国民の知る権利は空洞化しつつある。
2014年12月施行の特定秘密保護法によって防衛、外交、スパイ防止、テロ防止の4分野で、国の安全保障に関して重要と認定された情報は厳重に保全されることになった。
特定秘密とされた情報を外部に漏えいした公務員らは最高で懲役10年を科せられる。秘密指定の期間は原則最大30年で、内閣の承認によりさらなる延長も可能だ。
また、情報公開制度も深刻な問題を抱えている。01年4月、国の機関が保有する行政文書を原則として公開し、請求権を、外国人を含む全ての人に与える「情報公開法」が施行されたが、個人情報や、国の安全、外交上の不利益になる情報などは非公開を認めるという例外規定を悪用するケースが増えているからだ。
国有地を小学校建設用地として格安で購入した学校法人「森友学園」の疑惑を追及した国会審議では、「のり弁」と称され、内容がほとんど黒塗りにされた文書が注目を浴びた。このような例は枚挙にいとまがない。
さらに、この審議では財務省による交渉や面会記録などの公文書を短期間に廃棄していたことが問題化している。自治体の情報公開も同様だ。
南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣されていた陸上自衛隊が作成した日報を巡っては、情報公開請求に対して防衛省が「廃棄済み」を理由に不開示としながらその後、同省統合幕僚監部に電子データが保管されていることが判明するなど公開されるまでに曲折を経ることになった。
自分たちに都合の悪い情報は、国民の知る権利に反しても公開しないという姿勢が明確だ。このような認識を持つ政権や行政が、国民に対する監視を著しく強める権限を握ったらどうなるのか。他の権利も軽んじられることになるのは必至だ。
「自分は悪いことはしないから関係ない」という受け止めは間違っている。国民一人一人がわが身に起こりうる問題であることを認識してほしい。

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