Home > 社説 > 全国紙 > 産経新聞 > 【産経新聞】 テロ等準備罪 国民の生活を守るために
E030-SANKEI

【産経新聞】 テロ等準備罪 国民の生活を守るために

1 点2 点3 点4 点5 点   (2 投票, 平均点: 3.00点)
Loading...

 テロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案が衆院法務委員会で可決された。速やかに衆院を通過させ、参院で審議入りしてほしい。
 だが法案の成立がゴールなのではない。新法をいかに運用し、国民の生活をテロを含む組織犯罪から守ることができるかが問われているのだ。
 犯罪を実行するための準備行為を処罰の対象とするのは、犯罪が起きてからでは遅いからだ。善良な国民が被害者になってからしか摘発できないのであれば、社会の安寧を守ることができない。
 過去に3度、廃案になった共謀罪の構成要件を厳格化したテロ等準備罪の新設により、国連が採択した国際組織犯罪防止条約をようやく批准することができる。すでに187カ国・地域が条約を締結している。条約締結国間の情報共有は、国際組織犯罪の捜査に大いに資することが期待される。
 ただし法案の成立を目指すあまりか、不安定な政府答弁が目立った。これが新法の効力を弱めることにならないか、懸念がある。
 例えば当初、犯罪の準備行為がなければ捜査対象にはならないと説明されていた。だが、捜査しなければ準備行為を確認できない。さすがに答弁は後に「準備行為が行われていない段階でも任意捜査が許される」と修正された。
 一事が万事で、国会審議は新法に手かせ足かせをはめる方向の議論に終始した。
 この過程で、テロ集団や暴力団犯罪の証拠集めに有効とされる通信傍受や司法取引については、早々と法案の対象外とされた。
 金田勝年法相はごていねいに、「対象に追加する法改正も予定していない」とまで述べた。これこそ議論を尽くすべきではなかったか。捜査の手足をしばるばかりでは、未然に摘発すべき犯罪を見逃すことにつながり、新法の趣旨を生かすことができない。
 法案に反対する野党側は「一般人が捜査対象となる」「内心の自由が侵される」「息苦しい監視社会になる」等と主張してきた。だがこれらは、反対のための反対としか聞こえなかった。
 2020年東京五輪・パラリンピックは、残念ながらテロリストの格好の標的となり得る。開催国として、国際社会と協力して万全の備えを期すことは当然の義務である。法案の成立は、そのはじめの一歩にすぎない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。