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【読売新聞】 トランプ政治 ロシア疑惑を自ら拡散させた

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 昨年の米大統領選で、ロシアがトランプ大統領の陣営と結託していた疑惑は、一段と深まった。真相究明に向けて、公正な捜査を行う態勢が整えられたのは当然である。
 米司法省が、モラー元連邦捜査局(FBI)長官を特別検察官に任命した。ホワイトハウスの意向に背いて決定したという。異例の事態だと言える。
 特別検察官は、大統領や高官の関与が疑われる事件について、中立的な立場で捜査を指揮する。幅広い裁量を持ち、必要な場合は刑事訴追もできる。ニクソン大統領の辞任につながったウォーターゲート事件でも、解明に努めた。
 今回の「ロシアゲート」は、ロシアがサイバー攻撃などでクリントン陣営の選挙運動を妨害し、トランプ氏の当選に手を貸した疑惑だ。トランプ陣営も連携していた可能性が指摘されている。
 トランプ氏に近いフリン前大統領補佐官が政権発足前に、対露制裁の緩和を駐米露大使に「密約」した疑いも捜査対象となる。
 深刻な局面に発展したのは、トランプ氏がコミーFBI長官を電撃解任してからだ。「目立ちたがり屋で、FBIを混乱に陥れた」という理由は説得力を欠き、世論の猛反発を招いた。
 トランプ氏がコミー氏に、フリン氏に対する捜査を打ち切るよう求めていたとの報道が追い打ちをかけた。自らが捜査対象でないことをコミー氏から確認を取ったとも主張している。
 FBI長官への直接の働きかけは、司法妨害と受け取られかねない。事実関係が確認されれば、大統領罷免(ひめん)に向けた「弾劾(だんがい)訴追」の対象にもなる。コミー氏はトランプ氏との会話メモを残しているという。徹底した捜査が必要だ。
 トランプ氏がラブロフ露外相との会談で、イスラム過激派のテロ計画に関する機密情報を漏らした疑惑も看過できない。情報はイスラエルから得たとされる。
 同盟国や友好国が提供する情報を無断で第三国に伝えるのは、諜報(ちょうほう)活動の基本ルールに反する。米国に対する信頼を著しく損ねたのは間違いない。情報収集体制への悪影響が懸念される。
 トランプ氏は、自身や陣営に関する疑惑を全面否定した。「すべては魔女狩りだ」と不満を示し、メディア批判を繰り返す。
 政治経験と専門知識の欠如を自覚せず、強権的手法を続けることが、政権運営を危うくさせている現実を認識できないのか。大統領の資質が改めて問われよう。

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