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【岩手日報】 退位法案閣議決定 これがゴールではない

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 政府は19日、天皇陛下の退位を実現する特例法案を閣議決定した。逝去によらない譲位の仕組みが今国会で成立する見通しだが、残された課題も多い。
 政府、与党案は当初、3月に国会が合意した見解と離れていたため、民進党が反発した経緯がある。
 法案名は「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」。当初案では、現在の陛下一代限りの退位にしたい政権の意図を受けて「陛下」をつけていたが、将来の退位の先例になるように修正した。
 公務など活動に対する陛下の「ご心労」としていた当初案の表現についても、国会見解重視の民進党に譲歩し「お気持ち」に変更。「国民は陛下のお気持ちを理解し、共感している」とした。
 閣議決定された法案は、こうした修正協議を経て、要綱が連休明けに各党派に提示された。
 国会見解がまとまり、さらに自民、民進、公明3党が協議を続けていたとはいえ、丁寧な審議は必要だ。自由党は法案要綱に反対し、共産党も「憲法に適合するか吟味したい」とする。「国民の総意」に近づける努力を惜しむべきではない。
 大島理森衆院議長は「静謐(せいひつ)かつ迅速な議論」を求めているが、すんなりいくかどうかはまだ不透明だ。いくつかの懸念がある。
 一つは、皇位継承の安定化策の確保。民進党は法案の付帯決議に「『女性宮家』創設の検討」を盛り込むよう要求している。与野党とも先延ばしできない課題という認識では一致しているが、具体策は記述がない。
 国会見解では安定化策は特例法施行後「速やかに検討」としていた。政府は施行日は退位の日とする方針で、検討結果を国会に報告する時期はさらに遅れそうだ。
 秋篠宮家の長女眞子さまが婚約されることが明らかになった。結婚後は皇籍を離れることになる。皇族の減少という現実が、審議に影響を与えるかもしれない。
 共同通信社が3〜4月に行った世論調査では、退位をめぐる法整備について皇室典範改正による恒久制度化を望む意見が68%に上った。女性天皇は86%が容認。女性宮家には62%が賛成した。
 特例法が今国会で成立しても、それはゴールではない。国民の思いを受け止め、引き続き検討していくべき課題であることを政府も国会も自覚すべきだろう。
 閣議決定は、いわゆる「共謀罪」(テロ等準備罪)の採決をめぐる「ざわつき」の中で行われた。採決の強行で、審議にどんな影響が出てくるかは見通せない。「静かな議論」は可能だろうか。
 

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