Home > 社説 > ブロック紙 > 西日本新聞 > 【西日本新聞】 「共謀罪」採決強行 「1強」のおごり目に余る
E060-NISHINIHON

【西日本新聞】 「共謀罪」採決強行 「1強」のおごり目に余る

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 議論は一向に深まっていないのに、今国会で成立させるタイムリミットがきたということなのか。徹底審議を求める野党の反対を押し切って採決が強行された。
 犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案がきのうの衆院法務委員会で採決に持ち込まれ、自民、公明の与党と日本維新の会の賛成多数で可決された。
 市民社会を脅かしかねない法案だ。適用される「組織的犯罪集団」の定義が曖昧で一般市民が捜査対象になる恐れがある。捜査当局の監視が強まる懸念も拭えない。テロとは無関係と思われる犯罪も対象に含まれ、本当に東京五輪に向けたテロ対策か疑わしい。過去3度も廃案になった共謀罪とはどこがどう違うのか-さまざまな懸念や疑問は残ったままだ。
 法務委の審議は法案を所管する金田勝年法相の拙い答弁もあって数々の疑問に対する明解な答えを国民に示せなかった。国会の役割を果たしたとは到底言えない。
 私たちは社説で審議は費やした時間ではなく内容こそ重要だと指摘してきた。与党はきのうの審議で目標の30時間に達したから採決したという。法案の重大性に照らしてあまりにも拙速ではないか。
 共同通信社の先月の世論調査では改正案に賛成は41・6%、反対は39・4%と拮抗(きっこう)した。市民運動や政治活動が萎縮する恐れがあるとした人は51・0%だった。
 賛否が割れる法案だからこそ、政府の丁寧な説明と与野党の徹底的な論戦が求められていたはずだ。付則に取り調べの可視化などを盛り込む修正を加えたが、付け焼き刃の対応である。法案の危うい本質は何ら変わっていない。
 第2次安倍晋三政権になって、国民の知る権利を侵しかねない特定秘密保護法、憲法違反の疑いが指摘される安全保障関連法に続いて、今度は市民生活を萎縮させかねない法案の採決が衆院の委員会で強行された。「数の力」で反対論や慎重論をなぎ倒していく。「1強政治」のおごりが目に余る。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。