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【北海道新聞】 加計学園問題 もう「怪文書」ではない

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 疑念はさらに深まった。国会は関係者をいますぐ招致すべきだ。
 安倍晋三首相の友人が理事長の学校法人、加計(かけ)学園の獣医学部新設をめぐる記録文書について、文部科学省の前川喜平前事務次官がきのう「幹部の間で共有」され「確実に存在していた」と述べた。
 内閣府が文科省に対し「官邸の最高レベルが言っている」「総理の意向だ」と協力を求めたとして政治的圧力を疑わせる文書だ。
 官邸は「怪文書」と断じ、文科省はごく短期間の調査で「存在が確認できない」と片付けていた。
 しかし前任の事務方トップがその存在を明言した。内容は事実なのか、事実ならだれが「圧力」をかけたのか。検証が不可欠だ。
 ところが政府は再調査はしないという。ならば前川氏と、圧力をかけたとされる内閣府審議官を呼び、国会で究明するしかない。
 松野博一文部科学相は参院文教科学委員会でこの問題に関し「辞職された方のことをコメントする立場にない」と答弁を避けた。
 内容の真偽が確定できないにせよ、文科省のどこかで作られたと考えるのが自然だろう。その詳細を解明する責任は大臣にある。答弁回避は、職務放棄に等しい。
 「怪文書」と決めつけてきた菅義偉官房長官の姿勢も問われる。
 文書によれば「官邸の最高レベル」「総理の意向」の言葉は、内閣府審議官が口にしたとされる。
 内閣府を取り仕切る立場の官房長官が看過していいはずがない。
 だが菅氏は調査に消極姿勢を示す一方、前川氏について「天下り問題で批判にさらされ最終的に辞任した」と述べた。証言の信頼性を低下させようというのだろう。
 議論をすり替えて疑惑を糊塗(こと)しようというのなら姑息(こそく)に過ぎる。
 この問題ではほかにも、文科省と内閣府の協議を記録したとされる文書やメールが次々と明るみに出ている。いずれも、来春の開学を前提として調整が進められていたことをうかがわせる内容だ。
 半世紀以上も認められてこなかった獣医学部の新設が、なぜ急に進展したのか。同じように開設を目指した京都産業大の計画は認められず、なぜ加計学園が運営する岡山理科大が選ばれたのか。
 不透明な経緯の背景に、首相と学園の加計孝太郎理事長との親密な関係が、やはりちらつく。
 「安倍1強」をにらんだ政府内の忖度(そんたく)と斟酌(しんしゃく)が、行政の恣意(しい)的な運用を招いてはいないか。森友学園問題とも共通するその疑問に、国会は今度こそ答えてほしい。

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