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【徳島新聞】   性犯罪厳罰化法   被害者支援も充実させよ  

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 性犯罪を厳罰化する改正刑法が成立した。明治時代の1907年に刑法が制定されて以降、初めての抜本的な改正である。7月13日に施行される見通しだ。
 
 改正法の柱の一つは、刑事事件として公にするかどうかの判断を被害者に委ねていた「親告罪」規定を削除したことだ。これにより、性犯罪の被害者がさまざまな理由で告訴に踏み切れず、泣き寝入りしていたケースでも、検察官の判断で起訴できるようになった。
 
 改正内容を施行前の事件にさかのぼって原則適用するとした点も、被害者の精神的な負担の軽減や、性犯罪を潜在化させない上で必要不可欠な措置だろう。
 
 性犯罪は、長期間にわたり被害者の心と体に傷を残す極めて悪質な犯罪である。にもかかわらず与党は、改正刑法より2週間遅く国会に提出された「共謀罪」法を先に審議入りさせた。
 
 改正法は、強姦(ごうかん)罪の成立に必要な暴行や脅迫の要件を維持している。これに対し、被害者の支援団体などは「軽い程度の暴行や脅迫しかないケースでは、意に反する性交でも罪にならない」として要件の撤廃を求めている。
 
 国会でしっかりと審議すべき論点は多かった。国民生活に密接に関わる改正刑法の審議入りを後回しにした与党の責任は重い。
 
 家庭内の性的虐待を巡っては、親などの「監護者」が影響力を利用して18歳未満の者に性的な行為をすれば、暴行や虐待がなくても罰する規定を新たに設けた。
 
 これまで児童福祉法といった比較的軽い刑罰で対応せざるを得なかっただけに、大きな前進だろう。
 
 ただ、肝心の「監護者」に教員やスポーツ教室のコーチなどが含まれておらず、現実を反映したものではないとの指摘がある。改正法の付則には、施行後3年ごとの見直し規定が明記されている。どの範囲までを監護者とするのが適正か、政府は引き続き検討してもらいたい。
 
 現行刑法が女性に限定している被害者に、男性を含めた上で、性交類似行為も強姦の対象となる。性犯罪の実態を考えれば当然の流れであり、もっと早く見直すことができなかったか。
 
 厳罰化に関しては、法定刑の下限を「懲役3年」から、殺人と同等の「5年」に引き上げた。とはいえ、厳罰化だけで性犯罪が撲滅できるとは言い難い。
 
 加害者は刑期を終えると社会に復帰する。しかし、刑務所で行われる更生プログラムの指導者不足が指摘されるなど、体制は十分でない。再犯防止に向けた取り組みの強化は重要課題だ。
 
 改正法の付帯決議に盛り込まれた通り、被害者支援の体制も充実させなければならない。国などの関係機関は、市民への啓発活動や学校での性暴力防止教育などに努める必要がある。

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