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【北國新聞】 金石で旧町名復活 地元主導の意義は大きい

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 金沢市の金石地区で旧町名復活を目指す動きが出てきた。城下町の海の玄関口として栄えた金石には今も町会に旧町の名と区割りが残っており、金石町校下町会連合会は地区全域で歴史ある町名の復活を目指す。
 金沢市は全国に先駆けて旧町名復活に取り組み、2009年までに11の町で実現したが、その後は具体化しなかった。ここに来て金石で復活の機運が生まれたのは、世代交代が進むと地域の歴史が忘れ去られる心配が住民の間にあるからだという。市の働き掛けもあったにせよ、地元が主導して復活の準備が進む意義は大きい。
 金石地区では住民が町会活動や祭りを通じて旧町名になじんでいるとはいえ、復活に動いた町会関係者の苦労は大きかったと思われる。住民の理解を得て実現するまでには、乗り越えなければならない課題があるだろう。復活に向けた議論や活動を地域の結束と活力につなげてほしい。
 復活対象として検討されるのは28の旧町名である。いずれも、町の歴史や人々の営みを端的に示しており、例えば「金石御塩蔵町(おしおぐらまち)」は加賀藩の塩蔵があったことで、この名が付いた。「金石松前町(まつまえまち)」は北海道の松前との交易にちなんでいるという。
 町名が伝える歴史と文化を住民が意識するようになれば、自分が住む地に愛着と誇りが生まれる。ふるさとをよくする思いにもつながるはずだ。金石東、西、北といった機能的な住所に慣れた世代にも旧町名に戻す意味が浸透することを期待したい。
 効率優先の住居表示を進める法が制定されてから半世紀が過ぎた。旧町名の由来を知る人が少なくなるのは金石だけではない。土地の記憶が消える前に旧町名を復活させるために、金沢市は市民の理解を得ていく必要がある。
 金石町校下町会連合会は旧町名復活を通じて住民の結び付きが強まり、地域の防災力向上につながる効果も期待している。独り暮らしや、お年寄りだけの世帯は増えており、災害に備えて地域の絆を強めておく必要があるのは、どこも同じである。そうした現状から見ても、旧町名復活の意義は一段と大きくなっている。

One comment

  1. T. H.

    まだ地元住民の意思形成が確立していない中で、賛成・反対の議論がこれからという時期に、町名復活推進の立場を明確に主張しているのは住民軽視と言わざるを得ない。

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