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【富山新聞】 北が解放の学生死亡 米の怒り拉致打開の力に

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 北朝鮮に拘束され、こん睡状態で帰国した米国人大学生が死亡した。学生の父親は「北朝鮮が拷問のような扱いを息子にした」と怒りをあらわにし、トランプ米大統領は「残虐な体制だ」と北朝鮮を非難した。
 米国民にとって北朝鮮は遠い存在だが、自国の若者が1年半もの間とらわれの身となり、脳に障害を負った状態で帰された事実を突き付けられている。連日の報道で、かの国の異常さ、残虐さを肌身で感じ取っているのではないか。
 北朝鮮には現在も米国人3人が拘束されたままである。北朝鮮への怒りが市民レベルにまで広がりを見せる可能性がある。
 米大学生の悲劇は、人ごととは思えない。私たちもまた拉致問題は北朝鮮による国家テロであるという思いを新たにし、大学生の非業の死に哀悼の意を表したい。
 トランプ大統領は声明で「法の支配や根本的な人間の良識を尊重しない北朝鮮による罪のない人々への悲劇を阻止するとの政権の決意を深めた」と述べた。北朝鮮は外国人を拘束し、人権を無視して外交カードのように扱っている。米国民に日本人拉致問題について広く知ってもらう機会である。
 北朝鮮に拘束されている米国人3人は自分の意思で北朝鮮に入国したのであり、一方的に連れ去られた日本の拉致被害者とは立場が大きく異なる。だが、個人の意思に反して拘束され、自由を奪われている状況は同じだろう。日米両国が被害者救出に向け、連携を深めてほしい。
 死亡した米大学生は、北朝鮮を旅行中、政治スローガンが書かれた展示物を持ち去ろうとしたとして拘束された。北朝鮮側はボツリヌス中毒症で、意識不明になったと説明しているが、大学生が帰国後に入院した米バージニア大の大学病院は会見で、大学生の脳組織が広範囲にわたって壊死し、ボツリヌス菌の感染について「証拠は得られなかった」と述べた。
 状況から見て、大学生の父親が言うように、「凄惨で拷問のような虐待」を受けた可能性がある。米朝関係のさらなる悪化は避けられないだろう。

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