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【山陰中央新報】 臨時国会要求/疑問と不信の解消が必要だ

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 安倍晋三首相の友人が理事長を務める加計学園の獣医学部新設計画を巡り、首相最側近の萩生田光一官房副長官の発言を記録したとされる文書が文部科学省で新たに見つかった。
 これに対し民進党など4野党は憲法の規定に基づき臨時国会の召集を要求した。国家戦略特区における事業者選定について疑念がぬぐえないのなら、十分な質疑の時間を確保する必要がある。
 「総理のご意向」といった内閣府側の発言を書き留めた文書などについて文科省は再調査で存在を確認。だが内閣府は内容を全面否定し、二つの調査結果に食い違いを残したまま国会は閉幕した。
 このため野党は集中審議や前川喜平前文科事務次官の証人喚問を求めたが、与党は拒否した。
 憲法は「いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求」があれば、内閣は臨時国会の召集を決定しなければならないと定めている。ただ召集期限は切っておらず、実際に開催するかの判断は政権に委ねられる。
 とはいえ、臨時国会召集の要求にも応じず、なおも説明を拒み続けるようなら、それは国民の疑問と不信を黙殺するに等しい。安倍首相は国会閉幕後の記者会見で「指摘があればその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たしていく」と述べた。今まさに、その言葉を実行に移すことが強く求められている。
 新たな文書は「10/21萩生田副長官ご発言概要」の見出しで「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」「官邸は絶対やると言っている」などの記述がある。その内容の真偽について確認する必要がある。
 文科省によると、昨年10月21日に萩生田氏と高等教育局長が会った際のやりとりについて専門教育課の職員が局長からの説明などを基に個人の備忘録を作成。メールにより省内で共有していた。
 政府の国家戦略特区諮問会議は昨年11月に獣医学部新設計画の方針を決定したが、それ以前に作成された文書には「加計学園事務局長を課長のところに行かせる」との発言もある。
 これをもって「加計ありき」が裏付けられることにはならないが、内容を全面否定した萩生田氏は「詳細はよく覚えていない」とするにとどまった。松野博一文科相も「萩生田氏の発言ではないものも含まれているようだ」と説明。職員が内閣府から集めた情報なども混在させ、正確性に欠けるとしている。
 どこまでが事実で、どこからが事実でないかは、はっきりしない。萩生田氏は以前、加計学園傘下の大学で客員教授を務めている。「萩生田副長官から指示があったようです」と、学園に有利になるよう獣医学部新設の要件が修正された経緯を記したメールも文科省の再調査で見つかっている。
 一連の文書について真意は不明としながらも、一定の信頼性を認めていた松野文科相が今回、内容を疑問視したのも解せない。さらに文書にある発言をことごとく否定した内閣府の調査結果との隔たりは埋まっていない。行政がゆがめられたのではとの疑念を解消したいなら、文科省と官邸、内閣府は真摯に説明するしかないだろう。

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